
元 広陵町企画総務部総合政策課 課長
(2026年3月31日付退職)
しば たかあき
広陵町は、奈良県中西部に位置し、近畿圏の中核都市である大阪市まで約30kmの直線距離にあります。面積は、東西約4.5km、南北約6.0kmで、16.30km2となっており、近畿日本鉄道の箸尾駅を中心として発展してきた北部地域、地元の靴下産業が息づく西部地域、のどかな田園風景が広がる東部地域、閑静な住宅街が広がる真美ケ丘ニュータウン地域と大きく4つに区分されます。また、隣接の自治体へは車移動であれば、10分定度で移動できる非常にコンパクトなまちとなっています。

当町の公共施設は、その多くが他の近隣自治体と同様に高度経済成長期の1965年から1975年代にかけて整備されているものが多く、老朽化対策等の問題を抱えています。2023年3月末時点で施設数は、91施設で延床面積合計は約11万m2となっています。当町の公共施設の特徴は、建設時期により大きく3つに分かれています。まず、第1グループとして、町の創設時に、町役場や小学校などシンボル的な公共施設が建設されました。次に第2グループについては、国体が開催されたことに伴う中央体育館や地域体育館の建設、加えてニュータウン地域での小中学校の建設が実施されました。最後に第3グループとして、町の人口増加が一段落した1998年頃から町の発展の下支えとなる、総合保健福祉会館、図書館およびクリーンセンター等が建設され現在に至っています。

手始めに、民間活力導入の優先度が高い施設で、かつ、再配置計画において、機能・施設面共に問題がないと判断された、「広陵町パークゴルフ場」について、2017年に当町初となる指定管理者制度を導入しました。また、再配置計画に基づき、幼稚園と保育園が「こども園」に統合となったことから、普通財産となった幼稚園跡地について、サウンディング型市場調査を行った後、公益性を確保することを条件に民間事業者へ売却し、現在は、長龍ブリューパークとして「お酒のある暮らし」をテーマに町北部のランドマークとして運営いただいております。その他に、公共施設の空きスペースの民間貸付や空調設備の更新時にESCO事業を導入するなど、積極的な民間活力導入を実施しています。
当町が広域での公共施設マネジメントを検討するきっかけとなったのは、県のファシリティマネジメント室が2016~2017年度において、圏域ファシリティマネジメントの一環で、早稲田大学の小松教授協力のもと公共施設の共同利用ができないかとの検討が始まったことに端を発しています。
当町では、2055年までに人口減少も考慮すると、施設総量を現状から約20%削減しないと財政的に維持していくことができない結果となっています。しかしながら、他の自治体同様、公共施設を減らすことを目的に削減するというのは、住民意見もあり、ハードルが高くすぐに実行できる可能性は低いことから、一旦、目線を変えて、公共施設を耐用年数までしっかり使い切るということにシフトしました。その中で、他の自治体の公共施設と共同利用ができれば、住民が当町以外の公共施設も利用することが可能となり、移動距離や利用状況・人数および施設保全状況等で自由に施設を選ぶことができ、必然的に利用が集中する(人気がある)施設が出てくるのではと考えました。つまりは、利用の少ない施設については、未利用者はもとより、利用者(受益者)にとってもあまり必要とされていない施設であると考えられるからです。
そこで、県ファシリティマネジメント室協力のもと、2018年度に当町周辺自治体に参集いただき、公共施設を広域で利用するためには何が必要か、どの施設で行うべきかという議論から始めることとしました。参加自治体については、大和高田市、香芝市、葛城市、上牧町、河合町および広陵町の3市3町に、県ファシリティマネジメント室に参画いただきスタートしました。また、2019年度には、王寺町にも参画いただき、各首長の了解を得た上で「公共施設に関する中和・西和広域連携検討会」を立ち上げ、公式的な組織として、文化施設(ホール)及び体育施設(アリーナ)について本格的に共同利用の検討を開始し、2025年度には、新たに御所市を加えた4市4町で公共施設の共同利用の協定締結を行い、本格運用を実施しています。

本町では、公共施設への民間活力の導入や広域での共同利用など、将来を見据え、先進的に取り組んできました。
今後の課題として、公共施設における的確な点検・診断と施設のあり方についての熟議が必要です。公共施設の役割をふまえて、修繕方法の見直し、地域移譲や統廃合など、更新費用の削減とあわせて、施設を最大限活用する方策を検討する必要があります。
これらの課題に対応するため、2026年4月1日から「公共施設マネジメント課」を新設して、建築職員の集約、企画政策部門や財政部門経験者を配置し、各施設の所管課と連携を図りながら、今後の公共施設のあり方について協議・検討を進めてまいります。