株式会社松岡総合研究所 代表
映画「国宝」の冒頭で繰り広げられる立ち回りの舞台のモデルになったのが、長崎の老舗料亭「花月」だ。戦火を逃れ、400年近くの歴史を刻んできた伝統と格式は今なお健在。歴史と文化に包まれながら、地元食材を使った料理に舌鼓を打つと、まるで映画のワンシーンに紛れ込んだような錯覚を覚える。襖の向こうから「よっ、待ってました!」と誰かが登場してきても不思議ではない空気感だ。
一方、長崎の最新ファシリティといえば長崎スタジアムシティ。こちらはジャパネットグループが出資し、運営する複合施設である。サッカースタジアムでは、ピッチが目の前という臨場感のなか、観客は試合に没入する。気づけば、解説者より大きな声で戦術を語っている自分がいる。宿泊施設や商業施設、オフィス棟までが共存し、多様な人々が思い思いに時間を過ごせる空間となっている。まさに「都市のオフィス化」を地で行くまちづくりだ。この街区全体は、先進技術を活用したIFM(統合ファシリティマネジメント)サービスによって統括管理されているという。裏側では、膨大なデータが収集され、活用されている。
伝統と格式、先進のテクノロジーと建築デザイン。そして、それらを静かに支えるIFM。江戸時代の出島以来、新しい文化や技術を受け入れてきた長崎らしい風景なのかもしれない。やはり長崎は面白い。
「FM玉手箱」は、ファシリティマネジメントを実践するプロフェッショナルによるエッセイシリーズです。FMへの想いや知見を詰め込んだ“玉手箱”(=価値ある情報が詰まった箱)として、JFMAジャーナルオンラインでお届けしています。