シェアードサービス会社勤務
インハウスファシリティマネジャー
5月に入り、真夏のような暑い日が多くなってきています。年々地球温暖化の影響が出ていますね。今年の夏が思いやられます。
さて、GWに近所の農園でやっている玉ねぎ狩りに友人も誘って出かけました。きれいに整えられビニールが敷かれた土には青々とした玉ねぎが植えられています。久しぶりに童心にかえって、泥んこにまみれしゃがみ込み、青々とした葉の根元を掴み、力いっぱい引っ張ると、「スポンッ!」という小気味よい手応えとともに、土の中から玉ねぎが顔を出しとっても嬉しくなって笑顔が広がりました。10ℓバケツにいっぱい、落とさなければいくらでも詰め込めるとあって、大小さまざまな玉ねぎを11kg(個数は不明)取ってきました。 後から農園の方に聞いたところ最高収穫は21kg!とか。
表面の泥を払うと、現れたのは驚くほどみずみずしく、光り輝くような真っ白な肌。日差しを浴びて、土をいじる瞬間、体の中に不思議なエネルギーが満ちていくのを感じました。料理をイメージしてとった玉ねぎはすぐにスライスして生で、丸ごとポトフ、グラタン、フライといろいろアレンジ。さらに葉っぱも持ち帰り炒めたり。
この体験を通じて、私はある実感を抱きました。それは、デジタル画面とコンクリートに囲まれて過ごす日々の中でいかに無意識のうちに「土の温もり」を求めているかということでした。
いま、都市部を中心に週末のレンタル農園が空き待ちになるほどの人気を集めています。抽選倍率が2倍近くになる地域もあるほどです。近くの農園でも定期的に農業体験を実施し、子どものころから土に親しみ、野菜づくりりを通じた食育活動が開催されています。単なるブーム以上に、本質的な「ウェルビーイング(心身が満たされた状態)」への欲求がここまで満たされるのだなということを改めて実感することができました。土に触れ、泥の匂いを嗅ぐーそれだけで、日々のストレスや雑念で張り詰めていた脳が、すっとマインドフルネスな状態へとリセットされます。医学的にも、農作業によってストレスホルモンが減少し、幸福感をもたらすホルモンが分泌されることが証明されています。もしかしたら失われつつある「人間らしさ」を、土の温もりを通して取り戻そうとしるのかもしれません。がちがちに固まった身体が軽くなり不思議なくらい気持ちが楽になりました。
そして、収穫した野菜を囲む「料理」の時間もまた、私にとっては心を豊かにしてくれています。
「トントントン」とまな板を叩くリズミカルな音。玉ねぎを炒めるにつれて広がっていく、香ばしく甘い匂い。料理という五感をフルに使う行為は、人と人の距離を劇的に縮めてくれます。「これ、どうやって食べる?」という料理をきっかけにした自然な雑談や一緒につくって食べることで「人とのつながり(社会的ウェルビーイング)」を、温かく編み直してくれます。この「土」や「料理」がもたらす圧倒的なウェルビーイングをすでにワークプレイスに導入されている企業も最近見受けられるようになりました。働く場所を自由に選べるABW時代になった今、オフィスに求められる役割は劇的に変化しています。「社員がきたくなる場所」、そして「従業員のエンゲージメントを高める場所」としてウェルビーイングの要素が重要な課題になってきています。ハード面の管理だけでなく「一人ひとりの感性を最大限に発揮できる体験の場づくり」というソフト面まで広げワークプレイスの中でもこの体験で得られるような気持ちを感じられる場をぜひ創りたいなあとこの日の体験を踏まえて改めて思いました。

「FM玉手箱」は、ファシリティマネジメントを実践するプロフェッショナルによるエッセイシリーズです。FMへの想いや知見を詰め込んだ“玉手箱”(=価値ある情報が詰まった箱)として、JFMAジャーナルオンラインでお届けしています。