
お母ちゃん学 講師
ささき みか
一市民として、母として、この12年ほど地域で防災・減災活動を続けてきました。
きっかけは、東日本大震災です。
その時私は横浜にいましたが、出先で地震にあったので電車が止まってしまい、生後半年の赤ちゃんを連れて帰宅困難者になってしましました。
乳児を連れて寒空の中で電車が動くのを待ちながら不安だったことは今も忘れられません。(結局パシフィコ横浜に避難しました)
また、震源が宮城県沖だったので故郷がどうなってしまったのかとても心配でした。ずっと変わらないと思い込んでいた故郷が被災したことと、福島原発の事故は、子育てをしている自分には大きな衝撃でした。そして、災害が自分ごとになっていなかったことを実感しました。
私自身や実家の家族に大きな被害はなかったものの、当時は心配と不安ばかりの日々を過ごしました。自分が故郷に何もできなかったジレンマもあり、「災害や人災の被害から子ども達を守りたい!」という強い想いから、子育てをしながら必死に勉強して仲間を作っていきました。 子ども達が成長していくにつれて、「自分で自分を守れる子ども」になってほしいという想いへと変化してきました。
そして、災害はもちろん、生きるための力を養い、地域で安心して幸せに暮らすために、すべての人に共通するテーマとして防災・減災を軸にした共に育んでいくコミュニティとしてお母ちゃん学という団体を立ち上げました。
子ども達が保育園に通っていた頃から実際に活動をはじめました。保護者会の活動で「防災ピクニック」という防災をテーマにした交流活動を開催しました。地域の広域避難場所(子ども達がよくお散歩に行く大きなお寺)に集まり地域の防災マップを見ながら情報を共有して、持参した防災食をお弁当代わりに食べてみるという企画でした。
参加へのハードルが上がらないように、難しいことはせず、いつもの家族のお出かけに少しだけ防災の要素を取り入れて、まず顔の見える交流をするのが目的でした。そのうち、地域防災マップを見たり、新聞スリッパを作ったり、情報共有のワークをするようになりました。
はじめた頃は、参加する人は少なかったのですが、2人の子どもが卒園する頃には保護者会主催の防災企画は年に1回の定番行事になり、先生達も参加してくれるようになりました。保育者と保護者が協力して防災に向き合えるきっかけになりました。
町内の子ども会の活動への参加は、地域の防災活動に関わるスタートになりました。子ども会の体験活動では「防災遠足」を取り入れて、市内の防災センター見学会や鶴見川の治水を学べる流域センターに遠足に行きました。それらの施設は、基本的に無料で施設の方がガイドしてくださるので、特別な知識がなくても楽しく防災を学べますし、主催する役員さん達の負担が少なく家族で学べる行事としては好評でした。
町内会の活動をきっかけにお祭りの時には御神輿も担ぐようになりました。今では息子も一緒に参加してます。お祭りはただ賑やかで楽しいイベントというだけでなく、関わることでより一層地域でのつながりを広げることができました。
年に一回お祭りを続けることで住んでいる町の中に顔の見える大人や子どもができるので大切な行事だともいますし、何より子ども達が楽しんでいる姿は嬉しいものです。
子ども会や町会というコミュニティは、苦手な方もいるかもしれませんし、正直今は成り手も少ないのが現状です。しかし、一番近い距離にいる人達でもあるので、ご近所つきあいが少なくなっている今、この身近な関係性を見直してもいいのではないかと思います。ただ、決して押し付けることはせず、子ども同士の交流や地域の楽しみの活動の1つとしてゆるやかな距離感で続けています。
最初は、身近なママ友達との防災活動でしたが、地域活動を続けてきたら同じ区内でそれぞれ別々に活動してきた人達がリアルでつながり協力して、学習会や講演会を開催できるようになりました。
防災をテーマにした活動は、発起人の防災仲間と、市民と行政の協力も必要だと感じます。
区の防災の助成金を活用したり、生協や企業やお店と協力して活動できると予算も増えて活動の幅も広がりました。防災の講師団体を招いて防災学習会やワークショプも開催することができるようになりました。
子ども向けの防災では、段ボールトイレを作るワークや、毛布たんか体験、防災クッキング体験、大人向けでは「避難所運営ゲームHUG」や「防災マップ」を作ったり、地域を防災目線で散歩したり、体験をしながら学ぶことを重点に開催してきました。(写真1、2)


冬の季節には鶴見川沿いで、親子で「防災焚き火カフェ」も開催しています。川沿いの許可されている場所に焚き火台や薪など用意して子ども達に火起こしから体験をしてもらい、火を扱う大切さを学ぶとともに、楽しみながら年代を超えた交流ができました。
東日本大震災から10年目のコロナ禍の時に被災地の東北のことがだんだん忘れられていく中で風化させてはいけないという想いから「東日本大震災を忘れない」という講演会を年に1回3月に開催することにしました。被災地の語り部の方をお招きして当時の事をお話ししてもらったり、震災に関わる映画の上映を開催しました。過去の経験から今を生きる私たちが学んでつないでいくことや、東北との架け橋になればいいなと思い、続けています。
人はいつも非常時のことばかりを考えて生きていけないし、子育てしている世代は日々の生活でいっぱいです。ですから、毎日の生活の中で普段から活かせる、誰でもすぐにできる減災対策を、体験を通して伝え、防災・減災を自分ごとに考えて自らが関わることの輪を広めていきたいと考えています。