公益社団法人 日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)
会長
よねくら せいいちろう
新年おめでとうございます。会員の皆さま、そして日頃よりファシリティマネジメント(FM)の発展にご尽力いただいている関係者の皆さまに、心より感謝申し上げます。2026年の幕開けにあたり、日本ファシリティマネジメント協会を代表してご挨拶申し上げます。
振り返れば2025年、社会はかつてないスピードで変化しました。
気候変動の深刻化、エネルギー構造の転換、そして生成AIをはじめとするデジタル技術の進展。これらは施設のあり方を根底から問い直す契機となり、FMの重要性を一層高めました。
一方で、日本の政治は大衆迎合的な流れに揺れ動き、私たちが本来持つ「苦労を惜しまず創意工夫を重ねる」という特質が十分に活かされていないようにも見えます。
世界に目をやれば日本の物価は決して高くありません。ニューヨークの地下鉄初乗りは450円、パリ450円、ロンドンでは580円もするのです。ガソリン代にしても電気代にしても限定税廃止前でドイツ・フランスの半額、イギリスの3分の2という水準です。しかも、廃止されたガソリン税は道路・インフラ整備や災害対策を目的としたものでした。50年以上が経過した日本のインフラ再整備費や災害対策費用は増えることはあっても減ることはありません。一方、「頭脳」という資源しかない日本にとって、天然資源制約こそイノベーションの源泉なのです。大切な資源や環境保全を持続的成長可能性の中で考える、まさにFM的発想が求められているのです。
協会ではこのような背景をもとに「FMを社会に広める」をコンセプトに、認定ファシリティマネジャーの資格制度改革を実施しました。論述試験や経験年数要件の廃止、試験期間の見直しなど、受験機会を拡充した結果、2025年の受験者は1800人を超え、合格者は約1,000名と、共に前年の倍増を記録しました。1997年の制度創設以来、累計合格者は17,600人を突破しています。法人会員は210社以上、公共特別会員は270団体を超え、個人会員も800名以上に達し、FMが社会に広がりつつあることを実感しています。
FMは施設の「つくる」「使う」「壊す」までのライフサイクル全体を見据え、都市や地域づくりに決定的な役割を果たします。単なる施設管理を超え、持続可能な社会を構築する戦略的手法として位置づけられるべきものです。コロナ禍を経て働き方やワークプレイスのあり方が大きく変化した今、FMは柔軟で創造的な空間づくりを支える存在としても再評価されています。さらにFMは、脱炭素社会への貢献、AI・デジタル技術との融合、地域社会との連携、そして多様な働き方を支える未来志向の環境づくりを通じて、社会課題の解決に寄与していくものに変貌しつつあります
今回で20年目を迎えるファシリティマネジメントフォーラムは、過去を振り返りつつ、未来を展望する場として開催します。テーマは「これからのFMについて語ろう―20年目に考えるファシリティマネジメントの現在・過去・未来」です。オンデマンド配信では約1カ月にわたり70を超える講演を提供し、基調講演・対談、シンポジウム、ネットワーキングパーティ、さらにはライブイベントなどリアルでの出会いの機会も拡充します。皆さまと直接「未来について」語り合えることを心より楽しみにしております。
最後に申し上げます。FMは社会を変え日本の競争力を増強する力を持っています。本年がFMのさらなる飛躍の年となるよう、協会として全力を尽くす決意です。国内にFMの概念をさらに浸透させ、未来を切り拓くためには、会員一人ひとりの協力と挑戦が不可欠です。どうか引き続きのご支援と積極的な参画をお願い申し上げます。
(2026年1月発行『ジャフマジャーナル』第221号より)