第20回(2026)

特別賞

  • 地域貢献
  • 遊休施設

遊休施設を活用した子どもの居場所創設

株式会社三井住友銀行

遊休施設を活用した子どもの居場所創設

はじめに

SMBC グループは、2023 年5 月に開始した新中期経営計画において、「環境」「DE&I・人権」「貧困・格差」「少子高齢化」「日本の再成長」の5 点を取り組むべき重点課題として策定。

中でも「貧困・格差」の解消に向けては、予防の視点から問題が深刻化する前に支援を行うことを重視し、本プロジェクトでは、こどもたちに対する学びと多様な体験機会の提供を通じて、自らの可能性を切り拓く力を育み、将来を主体的に選択・構築するための土台を築くとともに、「幸せな成長」の実現に向けて、持続可能で包摂的な社会へ貢献することを目的としている。

銀行店舗の軽量化に伴う、遊休建物の活用

銀行業界のデジタル化の加速を受け、当社は2023 年3 月よりハイブリッド運営を開始。総合金融サービス「Olive」や軽量型店舗「ストア」を展開し、顧客接点の拡大や店舗費用の削減を目指す一方で、遊休施設の増加という課題が生じている。

こうした背景の中、当社課題の「遊休施設の活用検討」と「こどもの体験格差の解消」という社会課題への取り組みが一致し、完全無償で利用可能なこども支援施設「アトリエ・バンライ -ITABASHI- 」の運用を開始した。

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中期経営計画「Plan for Fulfilled Growth」
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グループベースのハイブリッドチャネル戦略

こどもたちに「体験の資産」を残し「好奇心という資本」を提供する

本拠点では全年齢を対象とせず、活動の幅が広がる近隣小学校の中・高学年を主な対象とし、進学や高等教育を目指す年齢に達する前に多様な体験の機会を提供することで、こどもたちが自らの興味や関心を主体的に見出し、学習意欲を育むことができる居場所を実現した。

 「アトリエ・バンライ」は、こどもたちにとって学校と家庭以外の新たな居場所となり、持続的な成長を支援することで、次世代への貧困・格差の連鎖を断つことを目的とした取り組みである。
社会の豊かさの実現は、経済活動の安定を支える要素となり、将来的な銀行業界における事業基盤の拡充に大きく貢献すると考えている。

具体的な取り組み

お金・食・アート・サイエンスなどをテーマにこどもたち向けのプログラムを開催。銀行として、あらゆる業種の企業を顧客に持つという独自のネットワークを活用し、グループによる金融・経済教育にとどまらず、こどもたちにとって必要とされる分野の体験機会を提供している。

4,000 冊の多様な書籍に触れることで、何度訪れても新たな知識に出会える、未来を育てる本棚。書籍の選定は、「こどもたちへ好奇心という資本を提供する」というコンセプトのもと、直感的に読みたいと感じる好奇心に寄り添った構成となっている。

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こどもたちの可能性を広げる体験型「プログラム」

また本棚には、SMBC グループが所有する「SMBC の森」がある伊勢原市の間伐材を使用。こどもたちが自然に触れ、温もりを感じる中で、森や環境についての関心を持つきっかけを育む。

かつて社員食堂として利用していた2 階の食堂や厨房をこども食堂として改修。食と体験を組み合わせたイベントなども開催し、こども同士や大人との多様なつながりを育む交流スペースを構築。こども食堂は、板橋区社会福祉協議会から推薦を受けた4 つの団体と連携し、完全無償で運営団体への貸し出しを行っている。

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 地域とつながる、こども食堂「バンライ・カフェ」

人を中心とした働く空間構築を行っている丸天産業だからこそ、ファシリティマネジメントを社員の働きやすさ、事業推進、環境・社会・地域への貢献に波及させていきたいと考えています。人が輝くファシリティマネジメントの活用を社内実践することで、お客様へ経験をお伝えし、中小企業におけるファシリティマネジメント活用のロールモデルとなる事を目指しています。

●サービス提供者
・株式会社イトーキ
・株式会社電通
・特定非営利活動法人放課後NPO アフタースクール
・株式会社図書館流通センター

●講評
本事例は、金融機関の出張所という役割を終えた施設を、子ども支援施設として再生した極めて社会性の高い取り組みである。約4,000冊の蔵書を備えたライブラリーや子ども食堂を備え、学びと交流を複合的に支える拠点として再構築した点は、単なる建物転用を超えた価値創出といえる。SMBC グループの「社会的価値の創造」という理念のもと、体験格差の解消という明確な社会課題に長期的視点で向き合い、初期投資・運営の両面で本格的に資源を投入している点も高く評価される。さらに、地域住民やシニア世代が「市民先生」として参画する仕組みは、世代間交流と地域コミュニティの活性化にも大きく寄与している。本事例は、FM の枠組みを基盤としながらも、それを超えて社会的価値の創出に正面から挑戦した取り組みであり、優秀FM 賞に値する高い水準の成果を示している。その意義を踏まえ、ここに特別賞を授与する。