第20回(2026)

優秀FM賞

  • ワークプレイス
  • 働き方改革
  • 人的資本
  • エンゲージメント

人的資本最大化に貢献するオフィス

株式会社SHIFT

人的資本最大化に貢献するオフィス

はじめに

株式会社SHIFTは、社会課題を解決する会社として、ICTを通じて新しい価値の概念を追求し、誠実に世の中に価値を提供しています。
当社は、すべての従業員を人的資本と捉え、個々が在籍期間中に生み出す価値の総和をLTV(Life TimeValue)と定義し、その最大化を人的資本経営の戦略的指標の1つと位置づけています。

こうした考えのもと、当社のFM機能はLTV最大化に資する人的資本投資の一端を担うものと位置づけ、2024年より本格稼働している麻布台本社は、その思想を具現化する戦略拠点として構築、運営されています。

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人的資本経営に貢献するFM

利用者への貢献

当社は2025年に創業20周年を迎え、従業員数は連結で15,000名を超える規模へと成長しました。コロナ禍においても採用を止めることなく事業拡大を続けると同時に、高セキュリティ下でのリモートワーク環境を整備し、現在では約7 割の社員が在宅勤務を活用しています。

一方で、企業規模の拡大とリモートワークの定着により、組織としての一体感や帰属意識の希薄化が課題になることも想定していました。そうしたタイミングで本社移転の機会を迎えたことから、私たちは新本社を単なるオフィスではなく、組織の求心力を高めるための戦略拠点と位置づけました。

麻布台の新本社は、コンセプトを「インスパイア(感化・啓発・鼓舞)」とし、従業員の帰属意識やモチベ―ションを高めること、すなわち「感動創造」を目的とした拠点です。
表彰イベントやチームビルディングなど多彩な取り組みを通じて、従業員同士、さらにはステークホルダーとのつながりを生み出し、訪れるたびにSHIFT従業員としての誇りを再認識できる“ 立ち返る場所” として構築しました。

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 麻布台本社「ハレ」の場であり、インスパイアされるオフィス

オフィスに対する時代のニーズ

終身雇用に代表される日本的雇用モデルはすでに転換点を迎え、もはや転職は珍しいものではなく、人材の流動性が急速に高まっています。また、生成AI の発展をはじめとするさまざまなテクノロジーの台頭により技術がコモディティ化するスピードも高まってきました。そうしたなか、私たちは特定の企業に帰属する意味や価値を問う時代が改めて訪れていると考えています。

そういった環境においてFMは“ 同じ志を有するもの同士が集い、個人では成し遂げられない大きな課題解決に向かっていくための大きな原動力となる文化、絆といったつながりを生み出す装置” として強力な差別化要因になると考えています。

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FMの実践に向けた経営基盤が一体となった体制

本社を麻布台ヒルズというランドマークビルに設け、コンセプトを「インスパイア」とし、「感動創造」を目的と位置付けたのも、あたかも教会のような存在として、SHIFTに集う全従業員の象徴であり、拠り所であり、立ち返る場所として存在することを目指したものです。フリーアドレスやABWといった働き方が浸透するなか、特定の場所に毎日固定的に集まるといった働き方は、かならずしも前提ではなくなってきました。このような時代だからこそ、オフィスは新たな象徴としての存在が求められていると考えており、SHIFTはその先駆けとして新たなFMモデルに挑戦をしています。

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Entrance
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SHIFT's Club
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Project room

●講評
本事例は、FMを単なる施設管理にとどめず、人的資本経営の中核に位置づけた点に大きな先進性がある。社員LTV(Life Time Value) 最大化という経営指標とFM戦略を直結させ、さらにFM の財務効果3.7億円、LTV向上効果を定量的に可視化した点は、FMの投資対効果を実証的に示した極めて画期的な取り組みである。「ハレ」と「ケ」を明確に区分した拠点戦略は、イベントによる非日常と日常業務の両立を図りながら、社員の一体感を維持する合理的な設計思想として高く評価される。また、独自の人事評価制度「ひとログ」のもとで障がい者を含む多様な人材の能力発揮を促す姿勢も評価に値する。急成長を見据えつつ、エンゲージメント向上とコスト適正化を同時に実現したSHIFTのFM戦略は、ワークプレイスの新たな可能性を示す転換点として高く評価できる。