第20回(2026)
優秀FM賞
ネットワンシステムズ株式会社
本取り組みは、ネットワンシステムズが推進してきた「働き方改革」と「価値創造型ワークプレイス戦略」の集大成として、最先端のイノベーション拠点 netone valleyを中心に展開されたFM 活動である。2010 年以降、当社は「いつでも・どこでも・誰とでも」という働き方を掲げ、柔軟な勤務環境とICT 基盤整備を通じて働き方の高度化を進めてきた。
その後の働き方改革は、主に情報活用による業務改善とシステム改修へと推移していったが、働く場のあり方についての取り組みは、並行して協議と実践を繰り返してきた。2019 年からは価値創造を目的としたワークプレイス構築を加速し、新たな企業文化と成長を生み出すためのプロジェクトが始動した。

2023 年に開設された netone valley は、従来のオフィスの枠を超えた「創造と共創の場」であり、多様な交流・学習・成長を促すための空間となっている。アニミズム思想を取り入れた自然感あるデザインや時間帯によって光が変化する照明など、ワークシーンにあわせて働く場を【選ぶ】ことが可能な執務スペースにより、創造的な活動に寄与する仕掛けを多面的に取り入れる。
コロナ禍で希薄化したコミュニケーションを回復し、心理的安全性のある関係性を再構築するため、偶発的な会話を誘発するレイアウトや社内外イベントを積極的に開催している。多目的ホールでは社内外との交流会や体験型イベントが開催され、コミュニケーションの活性化がイノベーションの創出と社員の成長を促している。

FM 活動は経営戦略と密接に連動しており、成長戦略・財務戦略・人材戦略・サービス戦略の4 領域に寄与している。特に本社オフィスのコンパクト化と拠点統合や個人ロッカーの廃止により、2020 年比で面積は11% 増加しているがファシリティコストを97%に抑制。また、従業員エンゲージメントは2022 〜2023 年で5% 向上し、netone valley への来館数も年間で約7,000 人に達するなど、定量的な効果が確認されている。

環境面ではFFE(家具・什器)の59%を環境配慮型に置き換え、オフィス構築時のネットワークケーブルのリサイクル比率を35%から75%へ向上させるなど、サーキュラーエコノミーの取り組みを推進。照明・空調制御の最適化により、19 年度比で6.2%の電力削減にも成功した。
また、社会貢献としては、地域の学生向けの企業体験、小学生の将来を描くアートイベント、障がい者支援を目的としたデフスポーツ体験会など、年間数十件のプログラムを開催し、社員の成長機会にもつなげている。
2021 年に発足した専任のファシリティチームは現在11 名体制で全国18 拠点を管理し、ポータルサイトを通じて社員の意見を反映できる運用体制を構築している。さらに、半期ごとのプロジェクト振り返りで品質や財務を継続的に改善するPDCA を実施。今後も、ビジネス環境変化や働き方の多様化に対応しながら、創造性を支えるワークプレイスとして進化させ続ける方針である。

●サービス提供者
・株式会社プランテック
・有限会社インターアーム
・株式会社オカムラ
・コクヨ株式会社
・株式会社イトーキ
●講評
本事例は、ネットワンシステムズが長年にわたり取り組んできた働き方改革とワークプレイス戦略を、「netone valley」という独創的な拠点として結実させた点に大きな価値がある。新築倉庫を大胆に転用し、オフィスと物流機能を融合させた空間は、既存の枠にとらわれない先進的な試みであり、ICT とFM を融合した実証と発信の場として高い完成度を有している。本社、netone valley、在宅勤務の三位一体による「ONとOFF を融合したワークプレイス戦略」は、コロナ後の多様な働き方に対する一つの最適解を示している。FM を単なる管理機能ではなく、企業のコアコンピタンスとして位置づけ、顧客への価値提案にも直結させている点は特筆に値する。加えて、ファシリティコスト( 主に賃料・動力費・償却費を対象としている) を売上高の 2%以下に抑える明確な経営規律のもと、継続的なアップデートを前提とした姿勢は極めて実践的であり、完成度の高いFM の好事例として高く評価できる。