第20回(2026)

優秀FM賞

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射水市の公共FMの取り組みについて

富山県射水市

射水市の公共FMの取り組みについて

取り組みの背景

人口減少と財政制約が進行する中、公共施設の老朽化や再編は多くの自治体の共通する経営課題です。本市では、この問題を単なる施設更新の課題ではなく「自治体経営」と捉え、FM 専門部署を2022 年度に設置しました。合併により重複施設を抱えた本市では、公共施設の老朽化の対応と適切な維持管理を進めると同時に、公的資産を公民連携による地域価値創出の経営資源として再構築し、まちの魅力向上に向けた取り組みを進めています。

主な取り組みの概要

① 公共施設包括管理業務
「公共施設」と一言で言っても、小中学校、保育園、文化ホール等、特徴ある建物が各施設所管課により管理されています。
しかし、施設担当者の多くは、ある日突然「担当者」として配置され、建物管理についての知識がほとんど無いまま日々の仕事に忙殺されているのが実状です。さらに、市民ニーズの多様化・複雑化やコロナ禍での業務量の増加、災害対応等で業務を兼務する職員も多く、手一杯でとても疲弊している状態でした。そんな状態で「縮充」や「再編」などの重たい仕事である公共FM が進むはずはありません。

そこで本市では、公共施設包括管理業務を導入し、施設の安全管理をプロに任せ、施設管理にかかっていた職員の8,669 時間を別の行政のコア業務に振り向けるようにしました。各施設でバラバラであった管理仕様を統一化し、効率的な予算執行、市内事業者への発注率の向上、建物情報の一元化も可能となり、予防保全にも着手しています。

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「わがまち」らしい包括管理業務委託

② 民間提案制度
また、同年7月から民間提案事業の募集を開始しました。本市の民間提案は、市が保有するほとんど全ての公共施設、都市公園、未利用市有地を提案対象としており、民間事業者のアイデアやノウハウを活かした提案が採択され、詳細協議が整った場合は随意契約としています。

当然ながら民間主導で「行政が思いもよらないアイデア(知的財産)を提案できる」制度のため、様々な提案が舞い込んできます。その窓口を、我々公共施設マネジメント推進課で一本化し、コア業務に注力できるようになった施設所管課等と庁内横断的に取り組むことで、新たな市民サービスをスピーディーに実施しています。
これまで採択した案件は22 件、そして15 件の事業化を行っています。(2026 年1 月現在)

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市民サービス向上と自治体経営の効率化を加速する民間提案制度

③公民連携によるまちの魅力向上に向けて
今、本市で取り組んでいる公共FMとは、まちづくりの手段であって、最終的な目標は将来を見据え、本市の規模に見合った適正な公共施設を維持していくためにまちの新陳代謝を促し、まちとしての魅力を高めていくことだと考えています。

公共FMはそのための手段であり、目指すのは地域が自ら価値を生み出し続ける持続的な自治体経営です。こうしたまちづくりの取り組みを、行政だけで実施していくことは困難であり、民間事業者と連携し一緒になってまちの魅力向上に向けて日々邁進しているところです。

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人と地域の未来をつなぐ公民連携

●サービス提供者
・日本管財株式会社

●講評
本事例は、射水市が公共施設105 施設・866 業務を対象に包括管理業務委託を導入し、FM の高度化と職員のコア業務集中を同時に実現した点に大きな先進性がある。包括管理と民間提案制度を組み合わせることで、職員負担の軽減と財政支出の抑制、さらには脱炭素化や施設価値向上までを一体的に推進している点は高く評価される。能登半島地震時にも有効に機能したという実績は、制度の実効性と強靭性を示すものである。市長の強いリ ーダーシップのもと、担当職員が中心となり、庁内調整と民間パートナーとの信頼関係を築きながら、現実的かつ高度なFM アウトソーシングを実装したプロセスは、小規模自治体にとって極めて示唆に富む。射水市の取り組みは、今後の公共施設マネジメントの有力なモデルとして高く評価できる。