第20回(2026)

技術賞

  • 環境対策

ペリメータゾーンの課題を解決する次世代内窓「トロポス」

株式会社デバイス

ペリメータゾーンの課題を解決する次世代内窓「トロポス」

概要

トロポスは、特許技術による独自の窓構造によって、性能、意匠、施工性を同時に成立させた内窓です。オフィスビルをはじめとするファシリティの窓面に設置することで、窓際環境の快適性向上と空調負荷の低減を実現します。

背景と課題

オフィスビルの窓際では、夏の日射による暑さや冬の窓からの冷気を感じやすく、こうした建物外周部は「ペリメータゾーン」と呼ばれています。この環境を改善する手段の一つに窓の改修があります。 改修には複数の選択肢がありますが、弊社では建物の外皮に関する研究の結果、性能と施工性を両立できる「内窓」が有効と考えました。しかし、オフィスの窓は住宅等に比べて大きく、従来の内窓では分割数が増え、意匠面で制約が生じるという課題がありました。

独自構造による解決

トロポスは、特許技術による独自構造によりフレームをスリム化し、ガラス1 枚当たり2000mm ×3000mm の大型化を実現しました。これにより、オフィスビルの大きな窓面にも分割せずに設置でき、既存の外観や内装デザインを損なわない内窓としています。

独自構造 × 性能

トロポスは、日射熱を70% カットしつつ可視光透過率を68% 確保するLow-E 複層ガラスを採用し、性能と透明性を両立しています。また、大型化のため金属フレームを採用しておりますが、独自構造でガラス面割合を約93% まで高めたことでフレームによる性能低下を抑え、内窓として高い断熱性能1.9W/㎡・K を実現しています。

独自構造 × 施工性

内窓のトロポスは稼働中のオフィスでも施工でき、1 窓から1 区画、1 フロア単位まで柔軟に導入可能です。部品点数を抑えたシンプル構造により、大型でありながらスムーズな施工を実現しました。1 フロア約200 坪の場合、休日昼間の工事で4 日間の施工実績があります。

導入実績

複数の導入実績から、冬季のコールドドラフト抑制や夏季の日射熱低減による暑さの軽減が確認されています。また、空調負荷の低減により、導入後は窓際のペリメータ空調機を運転せずに快適性が確保された事例もあり、将来的な空調設備の更新費用削減にもつながっています。

今後について

私たちは、独自の窓構造によりデザイン性・断熱性能・施工性を高めた「トロポス」を次世代内窓と位置づけ、提案から製造、施工、測定検証まで一貫して行うことで、建物価値の向上やCO₂ 削減に貢献してまいります。

●講評
本技術は、建物の快適性と省エネルギー性の両立が難しいとされる外周部のペリメータゾーンの課題に対し、断熱性能、施工性、意匠性、大開口対応力といった複数の要素を高次元で統合した、バランスの取れたシステムとして完成している点が高く評価される。技術そのものが突出した単体の新規技術というわけではないが、居ながら施工が可能で、既存建築の意匠性を損なうことなく導入できる点は、既存ビルの断熱改修という難題に対する現実的かつ有効な解といえる。とりわけ、外皮性能の向上が喫緊の課題となる中、「トロポス」はオーナー、ユーザー、設計者のいずれにも受け入れられやすく、実装可能性の高い省エネルギー技術として大きな価値を有している。対象建物や法規面等での課題は残るものの、環境負荷低減という社会的要請に応える技術として、今後の普及と波及効果に期待し、技術賞を授与する。