第19回(2025)

優秀FM賞

  • ワークプレイス
  • 働き方改革
  • エンゲージメント

働く場所の自律的な選択を推進するワークプレイスの具現化をコスト効率高く実現

株式会社リクルート

働く場所の自律的な選択を推進するワークプレイスの具現化をコスト効率高く実現

コロナ禍を経て、世界中の企業は「自社の働き方はどうあるべきか?」を再考している。人的資本の観点から深い考察や議論が求められる中、オフィスに回帰する企業も少なくない。当社は、コロナ禍の2021 年4 月に国内事業会社を統合した。この統合を契機に、人材マネジメントポリシーを再定義した。そして「働く場所の自律的な選択」というユニークな方針を掲げ、質の高いハイブリッドワークの追求を決定した。

働く場所の選択肢には「自社オフィス」「自宅」「サードプレイス」があり、自社オフィスは「集まる場所」と定義。集まりやすく、集まることの体験が最適化される空間とサービスを実現した。この実現に際しては、工事工程や賃料に無駄のないオフィス返却と集約の全体計画を立案し、首都圏オフィスは1 年半という短期間で30 拠点から6 拠点に集約し、オフィスコストを大幅に削減した。さらに、その成果に甘んじることなく、竣工から1 年以内に評価検証の仕組み
を構築し、地方エリアの再編や首都圏オフィスの改善に反映させている。

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コンセプトシート

工事工程や賃料に無駄のない計画立案が重要

今回の再編は、既存拠点に住み続けながらの集約再編であった。首都圏30 拠点の契約内容や賃料を把握し、最適な集約先と返却拠点を絞り込み、空室期間が発生せず最短で返却できるタイミングを見極めた。また、工事期間が延びることは返却タイミングを遅らせるため、数千万円単位での賃料影響が生じる。さらに、工事費についても、期間延長に伴い増加する構造にある。そのため、30 拠点の人・ものの動き、従業員コミュニケーションにかかわるスケジュール感、事業や関連会社の繁閑、業務特性を念頭に置きながら、約1 年半という短期間で実現する計画を立てた。

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スケジュール

抽象的なコンセプトは空間とサービスの両面から実現する

オフィスを「集まる場所」と定義した際に、「集まりたい時に魅力的な場所」「集まるという体験が最良化される場所」を作りたいと考えた。そこで注目したのは「食の可能性」であり、良質な飲食体験がコミュニケーションと関係性を創出すると考えた。その結果、飲食の価値と可能性を再確認し、「気軽で居心地のよい空間」「心を動かすおいしさ」「熱々を提供する」といった従来の社食の常識を超えたサービスの提供に挑戦した。

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集まるを促進する場所CO-EN

評価検証の仕組化 ―2つの施策―

構築したオフィスやオペレーションは、その時点での最善の「仮説」であると考えている。仮説である以上、結果を検証し、残すべきものと変えるべきものを見極める必要がある。そのため、私たちは仮説検証の仕組みを導入した。

1 つ目は年1 回の満足度調査で、全従業員を対象に全拠点の満足度をアンケートし、改善施策の効果や課題を分析している。2 つ目は月次のモニタリング会議で、執務座席や会議室の稼働状況をKPI と比較し、適切な利用状況を確認して問題点を特定している。また、解決策の仮説を迅速に試験し、結果検証を月次で実施している。

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評価施策(満足度調査とモニタリング会議)
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●サービス提供者
・株式会社GOOD PLACE
・有限会社ジャモアソシエイツ

●講評
同社は過去に優秀FM 賞を受賞しているが、前回の1 拠点中心の応募から、全国展開へとFM 戦略を発展させている。オフィスを「集まる場所」と再定義し、ハイブリッドワーク対応ワークプレイスのソリューションを多様に検討し、食など多面的なサービスにより、効果を生み出している点、PDCA を回して継続的に評価し、エビデンスをもとに計画している点がよい。とくに、ABW で個人収納をゼロとする改革は、大胆で効果が高い。拠点集約により、オフィスコストの大幅な削減、返却する施設での廃棄物削減など、経営課題、社会課題への貢献もある。