第19回(2025)

技術賞

  • テクノロジー・DX

ミュージアムタワー京橋 BIM活用型 FMプラットフォームの構築

株式会社日建設計 株式会社永坂産業 公益財団法人石橋財団

ミュージアムタワー京橋 BIM活用型 FMプラットフォームの構築

ミュージアムタワー京橋は、地上23 階・地下2 階、延床面積約4 万㎡の大型複合ビルで、高層部にオフィス、低層部にアーティゾン美術館が配置されています。今回技術賞を受賞した「BIM 活用型FM プラットフォームの構築」プロジェクト(以下、本プロジェクト)は、建物竣工後、約3 年経った2022 年からス
タートし、現在に至ります。

本プロジェクトの中心は、FM(ファシリティマネジメント)に最適化されたBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を活用した統合FM プラットフォームの構築です。株式会社永坂産業、公益財団法人石橋財団をクライアントとし、株式会社日建設計、及び三井住友信託銀行株式会社、株式会社FM システム、トランスコスモス株式会社からなる企業連合の共同作業によって実現されました。

主な技術ポイントとしては、以下の3 点が挙げられます。
1. EIR(発注者情報要件)を介し、FM に最適化したBIM の発注・作成手法
2. 国内最大級のFM 向けBIM モデル(部材点数:約12 万点)の作成
3. BIM データを直接操作する必要がないクラウド型統合FMプラットフォーム「FM-Integration」の採用

EIR の作成に関しては、BIM データの作成発注前に半年程度かけて要件定義を行い、目的や作成方法、詳細度、運用方法、納品データ形式、データの権利などの多岐にわたる情報の伝達に役立てました。国内ではまだ実事例が少ない取り組みのため、EIR の内容の一部はJFMA のBIM・FM 研究部会にフィードバックし、現在作成中のガイドラインの策定にも貢献していく予定です。

統合FM プラットフォームは、クラウド上で動作し、ユーザーはWEB ブラウザからアクセスできる仕組みとなっており、「誰でも使えるBIM」を目指しています。施設台帳管理、長期修繕計画、BIM ビューア、ダッシュボードなどの機能を備えており、他システムやエクセルなどの外部アプリケーションとも連携可能です。これにより、施設管理の業務効率化、ライフサイクルコストの最適化、固定資産管理の精緻化を実現します。

2024 年6 月より運用が開始されたこのシステムは、現在も詳細なユースケースとすり合わせ、システムの改良や運用マニュアルの作成を進めています。また、今後はIoT センサーやエネルギーマネジメントシステムとの連携により、既存ビルのスマートビル化も視野に入れています。

本プロジェクトは、ファシリティマネジメントのDX 化と既存建物のスマートビル化において、今後のスタンダードとなることを目指しており、引き続き技術開発を鋭意進めてまいります。

1ef2aeb2ce5f06290726deb6efefb74b-1773903068.png
作成したBIMデータ

●講評
建築業界では、設計・施工にBIM を活用する事例が主流になりつつあるが、竣工後の運営維持での活用はまだ少数である。本応募は、BIM を活用するFM のプラットフォームとなるシステムを実際の事例に適用しながら、開発・展開を進めたもの。BIM のFM での活用の本流となるであろうEIR の作成アプローチを実行して川上段階を整備し、かつ当該BIM データを市販のクラウド型FM プラットフォームへ搭載してFM に活用している。EIR は、納入されるべきBIM データの詳細度、プロジェクト過程、運用方法、契約上の役割分担等を定めた発注者側の要件で、入札者側に提示される。本応募では、このEIR 作成が採用され、その成果であるBIM データを、クラウド型統合FM プラットフォームに搭載し、広範囲に活用しやすいシステムとしている。対象となったミュージアムタワー京橋は、美術館を併設する複合施設で、FM 用BIM データは国内最大級の12 万オブジェクトにのぼる。運用開始は2024 年6 月だが、BIM データのFM への活用の本流となる手法の開発であり、BIM ーFM の活用を広げるものと期待される。