第19回(2025)
優秀FM賞
一般社団法人前橋デザインコミッション
「馬場川通りアーバンデザイン・プロジェクト」は都市再生特別措置法に基づく都市利便増進協定を前橋市・周辺地権者・都市再生推進法人(前橋デザインコミッション=MDC)が締結して市長が認定することで、公共空間の民間整備と住民自治的な管理運営(FM)を可能にしたものである。

FMの担い手として、地域住民等による「馬場川通りを良くする会」(事務局:MDC)が発足している。約200 mの遊歩道公園+市道という公共空間の管理を地域住民等が行っている全国的に稀有なケースである。なお、前橋市が修繕等のハード的維持を担うもので、官民連携スキームという側面もある。

この空間は民間寄付3 億円を主な財源として整備したもので、その計画プロセスに地域住民等が参加してきている。FMの担い手となる地域住民が参加することで、空間の使い方や魅力の訴求、安全性、維持管理の容易性等について主体的に考えて設計計画に反映させることができている。計画着手は2021
年春、6 月から地域住民等への説明を開始し7 月からまちづくりの専門家を招いての勉強会や連続ワークショップを開催して通りの「将来像」や「コンセプト」を議論し、その成果を設計者にフィードバックし、設計計画を地域住民等と専門家が協働作業で練り上げてきた。つまり、FMの担い手である地域住民がハード計画をリードするというFM主体の計画推進となっている。
2022年11月にハード整備が着工し、FMの担い手としての「馬塲川通りを良くする会」が2023 年6 月に組織として本格稼働している。工事中であってもまちは生き物であり、ハード整備完了を待ってFMがはじまるものではない、元々は商店街組合や公園愛護会といった地域の伝統的組織がまちの維持管理に関わってきたものを継承再編してFM組織化したものである。2024 年3 月にハード整備が完了して新しい空間でのFM 段階に入っている。

この取り組みの特徴は外部のプロフェッショナルなFM 専門家が関わるのでなく、元々商店街組合による地域の伝統的な取り組みを街路整備に合わせて再編組織化したことにある。また、担い手主体のハード整備が魅力的なまちづくりとスムーズなFM実施を可能にしている。
ハード整備による街路の魅力化とFM による適切な清掃・植栽管理、定期的なイベント開催(ボードゲーム大会、バラ販売、夕涼み歩行者天国等)の効果から6 月のコロナ禍前5 年間平均月間歩行者45,387 人対して2024 年6 月51,039 人と113%の増加を達成している。
通りの魅力向上によって来街者数、回遊性、滞在性のいずれもが向上した結果である。こうしたまちの賑わいに呼応するように本年だけでも通りには4店(飲食2 店、美容1店、物販1店)の新規出店がある。また、並行する表通りにあたる国道50 号線沿いでは、前橋市として32 年ぶりに路線価が上昇する(2024 年7 月発表)という効果がみられている。「まちづくり」から「まちづかい=FM」がシームレスに繋がった成果である。

●講評
群馬県前橋市の中心的な商店街に隣接する馬場川通りの活性化に関する応募。公共空間を対象としているが、民間による整備と民間主体の管理・活用というユニークさがある。都市再生特別措置法に基づき、前橋市・周辺地権者・都市再生推進法人(一般社団法人前橋デザインコミッション=MDC)の3 者が締結している。ハード整備は2024 年3 月に完了した。公園と市道は前橋市が保有するが、清掃や植栽管理、公共空間としての活用は地域住民主導の「馬川通りを良くする会」が担当して、地域の活動とする新たな手法が創造されている。プロジェクト資金から運営維持の資金が確保され、「良くする会」の活動原資となっている。今後も運営を継続し、魅力あるまちづくりへと発展させることが期待される。