第19回(2025)

優秀FM賞

  • 働き方改革
  • エンゲージメント

ホテル事業におけるSPC実現に向けたFMの活用

株式会社金沢 彩の庭ホテル

ホテル事業におけるSPC実現に向けたFMの活用

取り組みの背景

コロナ禍を経て観光業全体がダメージから立ち直りつつある時ではありますが、宿泊施設においては未だいくつかの問題を抱えています。

1 つは大手の台頭やサービス業へのイメージなどによって深刻な人材不足が発生していること。もう1 つはデジタルツールなどの導入によるサービスの均一化です。これを打開すべく私共が採り入れたのがファシリティマネジメントです。施設自身とそれを取り巻く環境に投資することで高いブランド力を養い、ホテルが存続するための持続的な好循環を生み出すサービスプロフィットチェーンの確立を進めようと考えました。

ブランド力はお客様にとっては価値を感じて施設へ足を運ぶ要素となり、またスタッフにとってはロイヤリティの原資となる大切なものです。目に見えず形のないものではありますがCS・ES のどちらにも影響するホテルの柱とも言うべき存在であることから、これに注力して取り組むことを決意いたしました。

ESの向上で質の高いサービスを実現

スタッフの身の回りの環境を整え心身を守ることで従業員満足度(ES)の向上が期待できます。これによりモチベーションが上がり質の高いおもてなしをお客様に提供することができるようになれば、顧客満足度(CS)が向上します。CS の向上によって自ずと企業収益は増加へとシフトすることが予想され、その結果新たなビジネス投資が可能となりスタッフの働く環境をさらに改善することができるようになります。そしてまたそれが次の段階のCS につながっていく、という好循環が私たちが考えるサービスプロフィットチェーン(SPC)です。

実際の取り組みとしてはまず、ES の向上を目的としたバックヤードの増築に取り掛かりました。更衣室・休憩室を従来のものより使い勝手よくすることはもちろん、何よりもこだわったのはその設えです。元々私たちのホテルはご自宅のように寛げる空間を大切にしており、ゆったりと過ごせる雰囲気からご家族連れの方に多くご利用いただいております。特に2 階フロアが人気で好評いただいていることから、お客様の想いを常に身近に感じられるようこの2 階フロアを彷彿とさせるようなイメージでバックヤードを作り上げました。

ホテルスタッフも「ゲストのように」、そして「家族のように」感じてほしいという私の想いがしっかりと伝えられたのではないかと考えております。

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お客様体験ができるバックヤード

ホテルはホスピタリティ産業と言われるように「ヒト」が重要です。しかし多くの場合でスタッフは日々の業務に追われる状況に陥っています。当ホテルも例外ではなく、ゲストのことを理解し積極的におもてなしに向き合える環境や心の余裕に恵まれていないことがこれまでにも多々ありました。

単に人材不足を賃金アップ等の「条件」で解決するだけでなく、スタッフ皆さんのやりがいや満足度につながるよう「働く環境を整える」ことで、持続的な好循環を生み出すサービスプロフィットチェーンを実現し、今後もより魅力ある地元を代表する施設に成長していきたいと考えています。

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ホテルスタッフの接客風景
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個室ブースを増築
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ファミリーやグループ向けの新しい客室タイプ

●講評
ホテル経営事例の応募である。「CS 向上、ES 向上が連関して企業収益向上を生むサービスプロフィットチェーンの好循環醸成」をめざ
して、FM の視点を導入した改修を実施し、経営改善を行った。とくに、ES 向上がCS 向上につながる点に着目し、従業員のバックヤードの拡張・
品質向上を図った施設改修は、FM の経営活動として評価したい。心のケア、体の健康、地域とのつながり」を重視し、ブランド向上をめざす経営
活動は、地元金沢の独立系ホテル(2 社のみ)としてユニークであり、地域振興につながるFM という視点からも応援したい。