第19回(2025)
優秀FM賞
第一生命保険株式会社
当社は、1902 年に日本初の相互会社として創業し、2010 年には大手生命保険会社初の株式会社化・上場を果たすなど、変革と挑戦を続けてきました。また、日比谷オフィスは、創業者・矢野恒太の想いを受け、軟弱な地盤を克服し、日本一堅牢で安全なビルとして、1938 年に竣工した第一生命館を起源とします。その後も時代に応じた機能を追求し、1993 年には「世紀を超えて続くオフィスビル」として再構築。歴史的価値を守りながらも変革と挑戦を重ねてきました。今回のリノベーションも、単なる什器の入れ替えではなく、「2030 年に目指す姿」を後押しする基盤づくりとして、抜本的な見直しを実施しています。

社員参画型によるボトムアップでのオフィスづくりにこだわりました。若手ワークショップやアンケート(回答者数延べ8,000 名)を通じて社員ニーズを把握するとともに、各部署のリノベーション担当者と個別対話を重ねながらレイアウトを策定しました。
経営戦略(2030 年に目指す姿)の実現には、従来の枠組みを超えた事業領域への拡大が必要不可欠と考え、「社内」「社外」「環境・地域・社会」「投資家・株主」とつながるオフィスを構築することで、経営への貢献を目指しました。
(1) 「社内」とつながる
本館と新館で分断されていたビルを結合し、メガプレートを実現しました。また、部署毎の「エリアアドレス型ABW」を採用し、交流が生まれるStreet を中心に据えました。職位の壁も取り払うため、役員個室を廃止し、「つながる」を生み出しやすい環境としています。
(2) 「社外」とつながる
旧食堂を交流するサードプレイス「LOFFT」と位置付け、社内外の人々が自然に交流し、共創/ 協創するオープンイノベーションの場として再構築しました。
すでに、入居テナント7 社と共創/ 協創の取り組みを開始しています。
(3) 「環境・地域・社会」とつながる
「建替え」ではなく「リノベーション」を選択したことで、CO2 排出抑制につながり、環境負荷の大幅軽減を実現しています。また、公開空地では、美術展等の文化イベントのほか、帰宅困難者受入施設とすることで、地域にも貢献しています。
(4) 「投資家・株主」とつながる
ハイブリッドワーク前提のオフィス設計やペーパーストックレスの推進等により、自社使用フロア数を圧縮しています。
また、「歴史的建造物としての価値」を最大限体感できる意匠にするとともに、WELL 認証の取得、「共創/ 協創の場」の構築など、新たな価値を加えることで、新築物件並みの賃料を実現しています。
これらにより、賃料収入増加等、財務基盤の強化にも貢献しています。

「オフィス環境面」「行動面」で継続的にアンケートを実施しています。いずれの結果も、リノベーション前に比べて改善しており、さらに、オフィスへの順応が進むにつれて良化傾向にあります。また、データ収集ツールを使ったフロア別コミュニケーション量では、全フロアで増加という結果も出ております。
各部署から選抜したリノベーション担当者(日比谷75 名、豊洲73 名)との検討会を定期的に開催することで、継続的にオフィス改善を実施しています。今後は、本取組みを全国へと波及させることで、さらに「変革と挑戦」を加速させてまいります。
.jpg)
●サービス提供者
・清水建設株式会社
・株式会社イトーキ
●講評
同社は2022 年に優秀FM 賞を受賞しているが、今回は日比谷DN タワーのリノベーションとワークプレイス改革に関する応募である。隣接していた旧DN タワーの共同持分の資産取得、2 分割されていた低層部の一体化、自身で使用していた高層部をテナント貸に変更、自社専用だった社員食堂を入居テナントを含めた交流カフェテリアへの改装など、既存施設の大規模かつ大胆なリノベーションを実施している。入居は2023 年8 月で、その後は入居テナントを含めた定例検討会によりPDCA を回している。テナント貸しによる収入など経営への貢献、WELL プラチナを認証を取得するなど、ユーザーへの配慮も行き届いている。