第17回(2023)
優秀FM賞
第一生命保険株式会社
当社は、1902 年に日本で初めての相互会社形態での生命保険会社として創業した。現在は、全国に約1,000 万名の保険ご契約者さまを抱え、主に生命保険事業を通じて、皆さまに安全、安心をお届けしている。また、非常に多くの方々からお預かりした資金(約 38 兆円)を、“ 運用収益の獲得” と“ 社会課題の解決” を両立して持続可能な社会の実現に向けて、資産運用を行うユニバーサルオーナー、機関投資家でもある。言い換えれば、当社が担う生命保険事業は、現在と将来の懸け橋として次の世代を守る大切な仕事であるとも言える。従って、われわれの最大のステークホルダーは次の世代だと考えており、その将来をサステナブルなものにしていくことが使命だと考えている。
この認識のもと、当社は、2021 年度からの新中期経営計画において、グループビジョンを「Protect and improvethe well-being of all(すべての人々の幸せを守り、高める)」と新たにした。 将来世代を含むすべての人々の well-being(幸せ)は、持続可能的社会(サステナビリティ)があってこそ実現するものと考え、そのサステナビリティの実現を事業運営の大前提と位置付ける。そして、気候変動のみならず、あらゆる人々の人権や多様性の尊重といった地域・社会課題解決にも取り組んでいる。

今回のFM の取り組みは、会社ビジョンの実現を目指し、当社唯一のリアルアセットである不動産、ファシリティを通じた近年(2018 ~2022 年度)のチャレンジである。

世田谷区の北西部、京王線仙川駅から徒歩12 分の場所に所在する約9ha(東京ドームの約2 個分)の福利厚生グラウンドの有効活用プロジェクトである。

今から69年前の1954 年に開園以来、長きにわたり大切に保全されてきた都内では希少で豊かな緑の環境を積極的に残すべく、敷地内の道路や建物の配置を工夫するとともに、多世代が居住し交流し続けられるマスタープランを計画。

施設計画だけでなく健康増進、高齢者支援、地域活性化、子ども・教育、スポーツ振興、安全・防災、環境配慮などを通じた地域住民のQOL 向上策のデザインも計画領域としている。具体的には、プロジェクトのビジョンである「地域住民のwell-being を高めるまちづくり~多世代の住民が安心して、豊かに交流しながら、健康的に暮らし続けられるまち~」を実現するプロジェクトの4 つのコンセプト「健康増進」、「環境配慮(気候変動緩和)」、「地域活性化」、「スマート化」についてSDGs の目標とリンクさせ、さまざまな社内外パートナーとの協業によるコンテンツを実装させている。

●講評
同社のファシリティ活用を通じた2018 年から2022 年度を中心としたFM 活動の応募である。FM 活動を「社会価値創造の取組み」として捉えるなど、SDGs への取組みと連係させている。活動は多岐にわたり、保有不動産への保育所誘致による待機児童数削減への貢献、RE100早期達成、専用施設による再エネ調達、自社施設活用のワーケーションなどによる地域活性化、働き方改革と連動する本社の大規模リノベーションなどがある。なかでも「地域住民のWell-being を高めるまちづくり」を目指した「SETAGAYA Qs-Garden」は、同社福利厚生グラウンドの再開発事業で、多様な社外パートナーと協業しながら地域住民目線の計画が実行されている。収益性と社会課題解決の両立を図る新たな価値創造の一環として自社ファシリティの活用を捉える視点、長期的な視点など、企業の先進性を感じる。とくに、FM を切り口に企業や自治体をよりよく誘導するためのメディアとして、FM 活動を社会価値向上につなげている点は高く評価できる。 FM の品質・財務・供給の目標と評価も適切にされており、継続的に改善されている。従業員が利用するワークプレイスのFM についても、本社のリノベーションは発展途上だが、2010 年以降拠点の再配置とワークプレイスの改革に取り組み、旧拠点の資産売却、新拠点でのワークプレイス改革プロジェクトを進めている。1902 年の創業以来、社会貢献重視の姿勢は、FM 活動においても継続して多面的に発揮されているといえる。