第17回(2023)

優秀FM賞

  • ワークプレイス
  • エンゲージメント
  • テクノロジー・DX
  • 環境対策
  • 働き方改革
  • リノベーション
  • ライブオフィス

本社移転による「DX活用のFMオフィス」づくり

イオンディライト株式会社

本社移転による「DX活用のFMオフィス」づくり

はじめに

イオンディライト(以下、当社)は、日本・中国・アセアン各国を活動領域にFM サービスを提供している企業です。当社は、東京都千代田区にある築50 年以上のオフィスビルを自社内装設計部門によりDXを活用したスマートオフィスへとリノベーションし、2021 年9月より、新本社として稼働を開始しました。

移転前の課題

以前の本社組織は、東京、大阪、千葉と3 拠点に分散しており、拠点機能として重複する部分や情報共有の遅れ、対面コミュニケーションを要する重要な意思決定がしづらい等の課題が生じていました。また、コロナ拡大に伴うテレワーク(在宅勤務)の普及により、オフィスの余剰・非稼働スペースが生まれ、ファシリティ利用度、ファシリティコスト(賃料)の非効率が発生し、with/after コロナを見据えた新しい働き方への対応が求められるようになっていました。

Active Work Design

こうした背景のもと、分散していた本社機能の集約と業務プロセスの見直し、新しい働き方の実践により、「生産性向上」を実現する本社を目指しました。
本社移転にあたって、当社の未来を担う20 代、30 代を中心に部門横断的にメンバーを集めた次世代検討会を立ち上げ、新本社のコンセプト「Active Work Design」を策定。
新本社では、「これまでの働き方にとらわれることなく、従業員一人ひとりがそれぞれの働き方を自らデザインし、「人」の力を最大限に発揮できるような環境を創造する。DX により、ビジネスに新しい視点を組み込み、お客さま、地域社会に新しい価値を提供する。」という思いが込められたこのコンセプトを実践するためのオフィスを構築しました。

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経営方針とFM戦略

主なFM 施策

 「生産性向上」を図る具体的なFM 施策として、「本社効率化」「ワークプレイス環境改善」「省エネ対応」「FM 情報発信」「BCP 対応」を実施しました。

① 本社効率化
・ 3 拠点に分散していた本社機能を集約し、経営の意思決定の迅速化と本社内での交流の活性化を実現
・大阪オフィスの執務面積縮小(約50% 縮小)、千葉オフィスの執務面積縮小(約75% 縮小)、グループ会社の一部事務所の新本社への施設統合等により、コスト削減を実現

② ワークプレイス環境改善
・ 集中ブース、ブレストエリア、リフレッシュエリア、タッチダウンスペース等の各種ワークスペースの整備、フリーアドレスの採用、オフィス勤務と在宅勤務を併用するハイブリッドワークの採用等によるABW*1 を実現
*1:従業員が自律的に業務内容や気分に合わせて、時間と場所を自由に選択する働き方

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多様な働き方を取り入れたオフィス

・ 自動昇降テーブルの導入、サーカディアンリズム*2 対応の照明設定、アロマ、アート、バイオフィリックデザイン*3 の導入等と検温システムや感染症対策を考慮した換気方式、非接触機器の採用等により、従業員の健康性・快適性の維持・増進と安全性の確保を実現
*2:1日(24 時間)の周期に同調した生体リズム
*3:自然を取り入れた空間デザイン

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ウェルビーイングに配慮したオフィス

③ 省エネ対応
・ 自社開発したビルオートメーションシステムを導入し、空調、照明、熱源等の各種設備運転を最適制御することで環境負荷低減に貢献

④ FM 情報発信
・ 省エネ、BCP 対策、DX 購入といったFM の最新トレンドを積極的に配信できる環境(配信スタジオ、ウェビナー視聴会場、本社紹介VR 等)を整備

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DX導入のオフィス

⑤ BCP 対応
・ 大阪と愛知にある弊社の危機管理センターに加え、新本社に危機管理センターの代替拠点を配備することで、大規模・広域災害にもレジリエンスを発揮する体制を構築

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BCP対応

当社は、新本社での働き方改革を引き続き実践し、生産性向上を図っていきます。また、新本社をFM の実証実験型オフィスとして活用し、得られた知見や情報を当社が提供するサービスに還元し、お客さまや地域社会に貢献することを目指していきます。

●講評
顧客へのFM サービス業務についてISO41001 認証を取得している企業が、自社のFM 活動について応募した事例である。現在は単体でのFM 統括マネジメントを実現している段階で、グループを含めた連結の体制構築は次段階の目標としている。同社の「ビジョン2025」達成の一環として2021 年8 月に新本社に移転。3 箇所に分散していた本社機能を統合化し、効率化と同時に働き方改革と連係するワークプレイス改善、省エネと施設長寿命化の課題対応、BCP 対応など戦略施策を策定して実行している。新施設はFM 情報発信基地兼実験場としても機能が与えられ、約1 年間の稼働状況である。「WELL Health-Safety Rating」の取得、築50 年以上のビルのリノベーションによる省エネと長寿命化、危機管理センターの代替機能付与など評価できる点がある。今後は、財務・品質・供給の継続的な評価による実績データを積み上げて、FM 活動の成果を内外に広めてほしい。同社のビルメンテナンス事業の拠点として、実態に即した面は発揮されているが、FM サービス企業として、顧客の経営・経営戦略に関与する面での発展につながる活動も期待したい。