第16回(2022)
優秀FM賞
富士通株式会社
将来の予測が困難なVUCA(ブーカ)時代、地球規模の持続可能性に関するさまざまな脅威が顕在化してきています。そのような中、当社はテクノロジーを通じてお客様に価値を提供し、社会の変革に主体的に貢献していくため、「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしてい
くこと」を富士通グループのパーパスと定めました。
ニューノーマルにおける新たな働き方への変革 「Work Life Shift(以下WLS)」も、まさにこのパーパスの実現に向けた取り組みの一環です。
WLS は「Smart Working」、「Borderless Office」、「Culture Change」の3つの柱で構成されていますが、今回はその中の働く場の変革「Borderless Office」の取り組みを応募させていただきました

Borderless Office においては「通勤」、「勤務地」という概念をなくし、働く場を「HUB」、「SATELLITE」、「HOME & SHARED OFFICE」に再定義しています。これまでのオフィスはFace to Face でコミュニケーションをとる場「HUB」と定義しました。「SATELLITE」は自社拠点内のサテライトオフィスであり、高いセキュリティと安定したネットワーク環境が整備されています。ソロワークは「HOME & SHARED OFFICE」で行います。SHARED OFFICEは全国1,000以上の拠点と契約しています。
社員はそれぞれのニーズにより、自律的に働く場を選択します。これまでのように毎日決まったオフィスに通勤することはなく、出社する際も、チームで集まりやすい、お客様に会いやすいなど目的に応じて出社先を選択しています。

実際、富士通の働き方はどう変わったのか。
現在、出社率は約20%、営業やSE部門に限っていうと10%程度となっています。 それに伴い通勤時間は1人当たり約30時間減少しました。 また、SHARED OFFICEは、約6万人の利用対象者のうち毎月、8千人程度が利用しています。使われ方はさまざまで、自宅の代わりに使っている例もあれば、お客様訪問前のチームミーティングに使用している例も あ り ま す 。
大きな変革を短期間で実施できたのは、経営の強いコミットメントのもと、制度、オフィス、ICTの変革を三位一体となって推進したことが大きな要因です。今後はWLSを進化させ、ワークとライフ相互の充実によるシナジーに重点を置いたWLS2.0を展開し、DX企業としてWLSをお客様や地域の課題解決にもつなげていきます。WLSはコロナ禍の緊急対策ではなく、世界をより持続可能にしていくための継続的な取り組みです。これからも富士通は変わり続けます。


●講評
2020 年7 月に「ニューノーマルにおける新たな働き方への変革=Work Life Shift」を発表した同社の改革を推進する3施策の1 つ、Borderless Office(BO)の展開と活用に関する応募。昨年7 月以来きわめて短期間に整備した。BO の要素は①HUB、② SATELLITE、③Home & Shared から成る。約1年間で①は40,000坪新設。②は全国22 拠点に展開、③のシェアードは全国1,300 拠点を超える契約が完了して稼働中という迅速さである。働き方はテレワークを基本とし、HUB はコミュニケーションに特化した構成である。テレワークの進展により30 時間/月・人の通勤時間減少があり、睡眠時間の増加などウェルネスへの効果もみられるが、残業時間の削減など課題も残されている。川崎の新オフィスは、フロアごとに異なる特性をもたせ、ABW のニーズに対応できる多様なセッティングが用意されている。同社の実証実験・ショーケースに位置づけられ、DX 化とデジタルツールによりオフィス内の利用状況の可視化、コミュニケーションロス減少、調査・評価・改善などに活用されている。これらの改修投資は、賃借コスト30%削減、動力・清掃費50%削減などによる原資によりまかなわれている。面積の削減に注目が集まっているが総合的なFM の取り組みに注目したい。