第15回(2021)
優秀FM賞
学校法人 梅光学院
大学開学50 年の記念事業として竣工した新校舎“TheLearning Station CROSSLIGHT” は、2017 年、設計は小堀哲夫建築設計事務所に、施工は清水建設、家具はinter.officeと次々に行ったコンペで決定した。学生数1,300 名の地方の小さな私立大学にとっては20 年に1 回あるかないかの大きな事業である。
新校舎のコンセプトは「場所が学びを変える、働き方を変える、人を成長させる」。“ 教育” ではなかなか人は変わらないが、場所の持つ力(雰囲気、あり方)によって学びや働き方に変化をもたらすという考えが基本になっている。
また、本学では「教職協働」や「学生との距離の近さ」を常としてきたので、設計や家具が決まる前に計7 回、教職員と学生が一緒にワークショップを実施し、意見交換と目線合わせを行った。それが1 階のフリーアドレス制オフィスおよび共同研究室での働き方にも表れている。
その日の気分や仕事内容で座席(働き場所)を決め、相談に来た学生に「教職協働」で対応するのである。そのため、1 階は教員、職員、学生が混在し、生活の相談、授業の質問等をしており、活気がある。

また、1 階には生協と協働したカフェ・レストランがあり、「新型コロナウイルス感染症」が落ち着けば、学内だけではなく、地域の方たちの交流の場、生涯学習及び学生連携の場として活用していく予定である。

2 階はしきりがあるところはガラス張り、その他はセミ・オープンスペースまたはオープンスペースで、廊下も階段も学びの場所、3 階はすべてがオープンスペースというつくりとなっており、通常の教室の概念とは大きく異なると思える。見たり・見られたり、聞いたり・聞かれたりする中で刺激を受けながら学ぶという考え方が基本にある。校舎自体も廊下が縦横90 度にあるのではなく、45 度回転させ、ジグザグにあるというのも今までの校舎の概念にはないと思われる。この新しい試みのために2018 年より教職協働の「ワーキンググループ」を立ち上げ、働き方、学生支援、教育や学びのあり方について話し合い、提案をすることによって2019 年3 月末の新校舎への移動が大変スムーズであった。


これも2017 年から教職員および学生全員が同じノートPCで働き、教育や学びも同じようにPC を使って行ったことが背景にあるが、“CROSSLIGHT” が完成したことによって、よりペーパーレス化が進み、相互のコミュニケーションもよくなり、学生においては自ら調べ、話し合い、至る所にあるプロジェクターを使って発表するというアクティブ・ラーニングも定着した。
まさに、“ 場所” が日々働き方や学びを変え、人を成長させているのである。このようにハード(校舎= 場)が、ソフト(働き方や学び)に影響を与え、時代のニーズに合わせて変化し続ける。そのような意味において梅光学院の挑戦はまだまだ続く。
●サービス提供者
・株式会社小堀哲夫建築設計事務所
・清水建設株式会社
・株式会社インターオフィス
・西日本電信電話株式会社
・株式会社ハイエレコン
●講評
大学のキャンパス、その核となるファシリティCROSSLIGHT を場とした学生・教職員の織りなす生き生きとした活動をFM の経営活動ととらえる応募事例である。梅光学院大学は1872 年創立、わが国で6 番目に古いミッションスクールの流れを汲む。 2 学部2 学科で、学生数は1,332 名、教員数46 名という小規模ながら世界大学ランキング日本版で「国際性第1 位」(中四国エリア)獲得など、特徴ある大学教育機関といえる。核となるファシリテCROSSLIGHT は、廊下・教室の境をもたないオープンな講義スペース、フリーアドレスの教職員一体のオープンオフィス、外部にも開かれたカフェレストラン、学生(アルバイト)も加わるワンストップサービスエリア、オープンライブラリー、学生・教職員が自由に居場所を選択できるなど、すべてが「アクティブ・ラーニングの場」となっている。非常にチャレンジングな教育改革の取り組みといえる。CROSSLIGHT の稼働は2019 年4 月で、まだ1 年半の実績が、要求条件整理等、準備期間の3 年間で練り上げてきた観があり、施設とその運営方法の改善も継続している。入学志願者、学生数の増加など、経営への効果も表れている。