第15回(2021)
優秀FM賞
株式会社 資生堂
当社FM 部は2019 年、プロジェクト管理、運営維持に加え、最も大切な全社のFM 戦略の策定・実施、働き方改革の推進などを担うFM 業務に特化した部門としてグローバルヘッドクォーターに新設された。
2016 年に策定された全社のワークスタイルコンセプト「創造力の交差点」を具現化すべく、2017 年のさいたま新都心オフィス構築を皮切りに広島オフィス他、国内事業拠点で新たなオフィスモデル構築を進め、2019 年には資生堂ジャパンHQオフィスの構築を完了、現在は汐留本社グローバルヘッドクォーター他のリノベーションなど複数案件を同時推進中である



新たなオフィス構築では、企業成長の原動力は「人」であるという考え方“PEOPLE FIRST” に基づいた経営方針に則り、全席ABW、オフィスコンシェルジェの導入、レコードマネジメントの導入、業務委託体系の見直しなどを進め、大型投資機会を逃さず、FM 業務サイクルの定着化に向けた活動を進めてきた。
現時点はまだ国内ファシリティが中心だが、世界各地のグループ会社を対象に、現地担当と連携したFM 戦略推進や資産管理、セキュリティ体制の世界標準化など、全社におけるFM 業務統括マネジメント体制の確立・定着化も進めている。
リノベーション機会には、対象となる全部門へのヒアリング実施を通じたオフィス改善課題の明確化や、移転・改装前後に実施するチェンジマネジメント研修の充実などにより、コスト効率向上や働き方改革の推進を通じた経営貢献に加え、資生堂らしい美意識をオフィスに具現化し、生産性や快適性のみならず、品格性や社員満足度も同時に大きく向上させた。

①文書管理規定の策定などレコードマネジメント統括業務の推進。
②社内ビジネスサポート機能およびルール徹底を図るオフィスコンシェルジェの導入。
③全世界社員共通の社員カード導入とセキュリティ体制のグローバル化。(国内2 万名を先行)
④サービサーとの業務委託契約の見直しによる改善と戦略的アウトソーシング・アウトタスキング。
⑤全社規模でのFM 戦略・計画立案と実践、KPI 設定による評価・改善活動。
⑥新たな対象領域である国内工場、研究所などオフィス環境標準化への取り組みや、海外子会社のファシリティデータベース構築など、FM 業務のグローバル化。

さらに再雇用・障がい者雇用を想定したファシリティ領域でのジョブ創出や、ダイバーシティやエルゴノミクスを踏まえたオフィス構築、コロナ禍などの環境変化にも機動的・柔軟に対応するなど経営課題に貢献し、品質・供給・財務の各視点で従来とは一線を画し、FM サイクルを統括的にマネジメントする部門へと進化を進めている。
テレワークの普及などファシリティに関連する経営環境も大きく変化していく中、今後FM 戦略も柔軟に見直すことで第四の経営基盤であるファシリティマネジメント特化部門としてグローバル企業にふさわしいFM 部門へと進化を図り、さらなる経営貢献と社員満足度の両立を目指してきたい。

●サービス提供者
・ジョーンズラングラサール株式会社
●講評
大企業の総合的なFM への取り組み事例の応募である。統括的なFM を推進するFM 部は32 名を擁し、多面的な業務に取り組んでいる。2017 年から各地のオフィスリノベーションに取り組み、2019 年にはFM 部へと体制・内容ともに拡充された。そして、資生堂ジャパン本社(SJHQ)オフィスの構築、汐留のグローバル本社(GHQ)のリノベーションという大プロジェクトに取り組んだ。オフィスのリノベーションではすべてABW 対応のワークプレイスとするなど、意欲的である。FM 部の業務は多岐にわたり、レコードマネジメントによる文書電子化と収納の削減、オフィスコンシェルジュ導入と運営、グローバルなセキュリティ体制構築、委託業務の改善、コスト削減を図る戦略的アウトソーシングなど幅広い。現在は、まだ一部が工事を残しており、利用実績期間も短いが、経営トップの人材第一の強い決意のもと、スピード感をもって総合的に取り組んでいる姿勢は評価できる。FM 部門のモチベーションも高い。国内施設の戦略的再配置、工場や研究施設への拡充、海外拠点の体制改革なども視野に入れた活動を進める予定で、今後の発展にも期待したい。