第15回(2021)

優秀FM賞

  • 働き方改革
  • エンゲージメント
  • ワークプレイス
  • テクノロジー・DX

物流倉庫のメガプレートオフィスと成長するオフィスの取組み

株式会社 梓設計

物流倉庫のメガプレートオフィスと成長するオフィスの取組み

はじめに

2019 年8 月に梓設計は、羽田地区の物流倉庫に本社移転しました。5300㎡のメガプレートオフィスとして、新築の物流倉庫に本社オフィスとして入居する前例のない不動産戦略の基、組織設計事務所としてチャレンジな取り組みを行いました。

また移転後も、テーマとした「成長するオフィス」として、蓄積したデータを分析や、課題点を議論検討するグローアップ委員会を中心にファシリティ維持管理を行っています。この移転プロセスから、移転後のファシリティマネジメント体制の取り組みとなります。

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経営貢献&利用者貢献

物流倉庫で目指すコミュニケーションスタイル

新本社で目指したもの、それは1 フロアでのコミュニケーションの実現です。それを最大限に行うために見通しが良い、物流倉庫への入居を決め、社内コンペを行いながら、梓設計らしいオフィスを皆で検討、自社設計していきました。ABW(アクティビティー・ベースド・ワーキング)の考え方にも基づき、各自の状況に応じた働き方ができる空間を多数用意すると共に、部門のアクティブな書類収納付近に自然と集まる「誘導型フリーアドレス」をアイデアとし、フリーアドレスの良い面を活かせる運用としています。カフェテリア新設や位置情報システム導入により、コミュニケーションの不安を解消するとともに、モバイルワークにも対応できるようにノートPC・iPad・iPhoneの全社員貸与を行い、社員の業務効率化も図っています。

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メガプレート平面図

設計事務所としての実証実験

メガプレートオフィスの実証実験として、早稲田大学田辺研究室と快適性・知的生産性評価の共同研究を実施し、移転前・移転後で評価を行い、ファシリティマネジメントのフィードバック材料としています。また、ワーカーの健康や快適性を評価するWELL 認証、省エネ性などの環境性能を評価するLEED 認
証、2つの認証を通して、快適性と省エネ性を両立するオフィスを目指しました。加えて、設計BIM データを活用し、属性データを持つオブジェクトを計画段階から、設計・施工・管理と一貫してデータを育て、他データベースと連携させる新たな取り組みも行っています。

AI・IoTを活用した新たなチャレンジ

「成長するオフィス」のコンセプトを実現するため、AI・IoTの技術を活用した新しい取り組みを行っています。オフィスの環境・エネルギーなどのデータを取得し、ビッグデータを分析することで、オフィス環境を継続的に最適化していく仕組みを構築しました。

社員の位置情報、オフィス内の環境データなど、全18 種類のデータを取得するため、約120 個のセンサーをオフィス内外に配置しています。1 分毎にデータ取得し、年間約2億レコードのビッグデータが蓄積され、今後AI に学習させることで、空調や照明、家具レイアウトの提案などを立案し、オフィスが自律的に成長していくシステムを目指しています。

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FMの定着&時代のニーズへの対応

成長するオフィスへ

新本社に移転し1 年半が経過。移転をきっかけに会社の雰囲気が変わり、よりチャレンジングな社風となりました。会社全体で本社拠点のあり方を皆で議論検討、ファシリティ環境の重要性を再認識したことで生まれた結果です。

物流倉庫のメガプレートオフィスで、組織設計事務所を体現する成長するオフィスを目指し、ファシリティマネジメントを行い、ニューノーマルな時代の新たなオフィスを目指して取り組んでいます。

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「誘導型フリーアドレス」を導入したオフィス

●サービス提供者
・ソフトバンク株式会社
・株式会社ウフル
・株式会社Phone Appli
・株式会社JVC ケンウッド

●講評
大手組織設計事務所が自社のFM に取り組んでいる事例の応募である。2019 年8 月の移転後、継続して執務環境の分析調査を行い、さらなる改善に努めている。FM の体制も移転プロジェクトチームからフォローアップ委員会、1年後のグローアップ委員会へと体制を整え、持続的な発展を期している。企画・計画時点から竣工後の運営維持まで、主要メンバーが一貫して委員会に加わり、FM に携わっている点もよい。新しいワークプレイスは、分散オフィスを統合して物流倉庫の5,300㎡のメガフロアに集約したもので、1 人あたり面積は1.4 倍に増加している。オフィスコンシェルジュ(自社スタッフ)、カフェテリアの新設などのセンターオフィスの充実のほか、ノートPC・iPad 配布、サテライトオフィスなどテレワークにも対応している。WELL 認証も取得して食を含めた社員の健康にも配慮し、執務環境のセンサーによる測定などIoT を意識したデータ収集の取り組みもある。物流施設地区にあるので、通勤の便は劣るが、それをカバーする魅力を備えるように経営陣と一体となり運営している点は好感がもてる。BIM-FM は開発途上だが、来年中にはVer.1 が実稼働する予定である。今後の継続的発展にも期待したい。