第14回(2020)
優秀FM賞
東京都豊島区
豊島区(以下本区)では、2014年5月、日本創成会議から23区で唯一、消滅可能性都市に指定されたことを警鐘と受け止め、日本全体で進行する人口減少問題に対応するため、「国際アート・カルチャー都市構想」を掲げてきた。
「国際アート・カルチャー都市構想」とは、安全・安心の都市空間の中で、誰もが多様な文化を享受し合い、世界中の人々を魅了するにぎわいあふれるまちの姿のことである。多様な文化資源を有する豊島区の強みを最大限に活かしながら、本構想のコンセプトでもある「まち全体が舞台の誰もが主役になれる劇場都市」の実現を目指している。
本稿では、本構想において「アートカルチャー・ハブ(活動拠点)」として、周辺の文化施設や公共空間と連携しながら回遊性の強化が求められている、池袋駅周辺の4公園のうち、南池袋公園を中心に持続可能な公園経営について寄稿する。

本区では「まち全体が舞台の誰もが主役になれる劇場都市」の実現に向けて、2020年東京オリンピック・パラリンピックまでに、池袋駅周辺の4つの公園を整備している。
2016年に開園した南池袋公園、昨年開園した中池袋公園、池袋西口公園、本年7月にはとしまみどりの防災公園(イケ・サンパーク)が開園する。各公園の特色を活かし、土日祝日には誰もが参加できる多彩なイベントを開催し、訪れるたびに新たな発見に出会える、公園を核とした魅力あるまちづくりを展開す
る。さらに、公園をつなぐ交通手段として、昨年11月から工業デザイナーの水戸岡鋭治氏がデザインをした電気バス「IKEBUS(イケバス)」が運行を開始している。

南池袋公園(面積:7,811㎡)は、1951年に区画整備事業で生まれた公園である。
1975年に東京メトロ有楽町線の整備に伴い、公園の再整備を行ったが、それ以来整備されていなかった。
2009年より始まった公園の再整備にあたり、主軸においたのが、「人々が集まり子どもたちが遊べる公園にするにはどうしたらいいか」ということである。というのも、当時の南池袋公園は区民の利用が極端に少なく、子どもたちも寄り付かない人気の少ない公園となっていたためである。
6年半の閉鎖期間を経て、2016年4月にリニューアルオープンした。今では、人々が集まり笑顔があふれる公園となっている。整備後は、午前8時から午後10時までを開園時間としており、それ以外の時間は閉園している。

南池袋公園の特徴としては、以下の3点が挙げられる。
①芝生広場
公園の中央部に約2,000㎡の芝生が広がり、年間を通じてみどりを楽しむことができる。公園に入ると一面みどりの芝生が目に飛び込み、ビルに囲まれた都市のオアシスの空間が広がる。
②カフェ・レストラン
公園内に併設されているカフェ・レストランでは、開園時間に合わせてバラエティーに富んだ飲食が提供されている。カフェ・レストラン事業者は、公園施設の使用許可を受けて、公園管理者である区に成り代わって運営を行っている。公園施設使用料として4,537円/㎡・月の固定分とは別に一定金額以上の売上げが発生した場合にはその超過した分の10%を歩合分というかたちで徴収し、当公園の維持管理経費の一部として充てられている。
③南池袋公園をよくする会
行政と地域とが協働しながら公園空間の良好な保全と健全なにぎわいを創出し、地域の活性化を図ることを目的に設置された。
商店会・町会・区の代表者、隣接地権者、飲食店運営者、学識経験者等からなる会員で構成され、公園利用のルールや公園のさらなる魅力向上につながる活動について話し合いをしている。この会の活動資金は飲食店の売上げ額の0.5%の寄付を受けて賄われている。
このような特徴を踏まえて、南池袋公園では図表3 の収支のとおり、現状では約1,000万円の黒字で公園経営を行っている。

本区は東京23区唯一の消滅可能性都市に挙げられたが、この指摘をバネにまちづくりを進めてきた。
南池袋公園は公民連携の舞台となり、ここから住民参加による持続的な公園運営を行い、魅力あふれる公共空間の創出ひいては持続発展する都市の実現が図ることができた。
本区では、今後も南池袋公園での成功事例にとらわれることなく、それぞれの公園に合わせた持続可能な公園経営を目指し取り組みを進めていく。
●サービス提供者
・南池袋公園をよくする会
・株式会社ランドスケープ・プラス
●講評
公立公園の活性化事例の応募である。地元と地元をよく知る民間企業、行政の三者協力による新しい公園経営のビジネスモデルを創造している。カフェレストランの営業、イベントスペースの運営、ランドスケープデザインなど、心地よい公園のハードとソフトの両立により、住民が寄り付かなった状況を大きく改善して、約3年間の実績がある。地下に設けた変電設備の賃料、レストラン売上の一部など、一般の自治体公園にはない収益があり、それを原資にして投資の回収、公園運営費の充当を行っており、黒字経営となっている。豊島区行政では、池袋駅周辺の4 公園の整備構想を策定し、4公園をそれぞれ性格を変えて活用する計画が半ば完成し、運用されている。公園というファシリティをまちづくりに活用している好事例といえる。