第14回(2020)
功績賞
故障・不具合に関わる研究グループ
故障・不具合に関わる研究グループ
代 表 高草木 明、須藤 美音、千明 聰明、小松 正佳、大澤 昌志、丹羽 涼介
功績賞を受賞した「ビルメンテナンス現場の記録に基づく故障・不具合に関する一連の研究」は、日本建築学会の論文集等に掲載された査読付き論文23 本で構成されている。
老耄高草木(日本メックス)、および若年ながら環境と生産性の関わりなどにも手広く、多くの論文実績を持つ名工大准教授の須藤が近年の研究グループの中核となった。故障・不具合研究の先駆けは小松(NTT ファシリティーズ)の博士論文であった。高草木が東洋大学教授に転職した後、かつて電電公社建築局時代の同僚であり、日本メックスにも勤務した千明が東洋大学工業技術研究所客員研究員としてグループに加わった。高草木研、藤研で博士前期課程を修めた大澤(ジョンソンコントロールズ)、丹羽(NTT ファシリティーズ)が、故障・不具合研究でそれぞれ顕著な貢献を果たしたことからこの2名を加え6人連名での応募である。
およそ研究成果の評価には質と量とが問われる。質については学会の査読を信頼することとしたい。
量的には図の通りである。この図に示した論文全てに高草木が関わっているので、この図中の情報だけで全ての論文にアクセスできるはずである。応募者それぞれの貢献程度は論文著者としての参加の本数、及び、それぞれの論文での著者名の順番(貢献順)によって測ることができる。
この一連の研究で得られた知見は、ビルメンテナンス関連に留まるが、これはこれで多岐に亘る。ファシリティマネジャーには評価の妥当性などの説明が求められる。筆者が昨年末に受診した健康診断の問診で、担当の医師は、年齢と筋肉の関係についてご自分が最近読んだいくつかの論文を引用し、要するに老人の散歩の重要性を説いて間然するところなく説得力があった。
われわれの論文は、建物を造るためではなく、いわばファシリティマネジャーが現有施設の保全について建物所有者や建物使用者に対して説明責任を果たすために有用な新しい知見を提供し続けてきたつもりである。ファシリティマネジャー諸兄姉におかれては、ぜひこれらの論文に触れてみてほしい。(高草木)
●講評
本応募では、2001 年~2019 年の期間に発表された研究論文23 編について「一連の研究」の応募対象としている。個人のFM への功績として評価するには、一括りにはしにくい状況なので、研究グループを評価対象として、個々の研究論文についてFM への貢献を評価することとした。これらの研究論文には、オフィスビル、医療施設などのビルメンテナンスの現場で起こる事象を研究対象としている点、保全業務にまつわる故障や不具合を研究テーマに取り上げている点で、FM の運営維持の業務に参考となる知見が数多くある。