第13回(2019)

最優秀FM賞(鵜澤賞)

  • ワークプレイス
  • ファシリティマネジャー
  • 環境対策

横浜銀行におけるファシリティマネジメントの実践について

株式会社横浜銀行

横浜銀行におけるファシリティマネジメントの実践について

FM 導入の背景

横浜銀行(以下、当行という)では、約200の有人店舗と約400の無人出張所(店舗外ATM)を出店する中で、大規模改修の目安となる竣工後30年以上を経過したものが有人店舗の半数以上を占めていることから、店舗の老朽化による有形資産リスクの増加が問題視されていた。
また、金融業界をとりまく経営環境が大きく変化している状況下、建物設備の老朽化による修繕・改修費用の増加が見込まれるという問題があり、その将来コストを的確に把握し、環境の変化に柔軟に対応することが求められていた。

FM 導入手法について

そうした経営課題の解決手法として、2013年よりファシリティマネジメント(以下、FMという)の導入に向けた検討を開始した。戦略的且つ継続的なFM をインハウスで実施するためにはFM 中核要員の確保など、いくつかのハードルがあったため、豊富な実績を持つ株式会社NTTファシリティーズへのアウトソーシングを選択し、FM による課題解決と安定的な管財業務のオペレーションに向けた取組みを開始した。

9efdbdb012c19299fb58772b830ebf1f-1776307387.png
横浜銀行におけるFM 体制
510523397678c8dfffc567d9feae1f83-1776307430.png
横浜銀行FM サイクル

FM の三本の矢

2014年4月より当行の本店ビル内にFMセンター(統括マネジメント、建築、動産、不動産:計25 名)を立ち上げ、従来の管財業務を約半年かけて引き継ぎしつつ、本格的にFM業務に着手した。
FM導入にあたっては、店舗の現状把握をするための劣化診断及び現況調査を実施。それらをもとに中長期整備計画を作成し、将来的コストを「見える化」した。
また、店舗の土地・建物基本情報、運用情報、改修履歴、設備台帳といったデータを一元的に管理する「FMデータベース」を構築。
さらに、店舗計画の基準や維持運営の規定となる「FMスタンダード」を策定し、店舗の品質向上や業務効率化を図るためのルールを統一した。既存店舗において、それらの基準と乖離がある場合には、個別施策を立案したうえで店舗全体の最適化をおこなった。

ef3b4364439067f93788e1ca26a8cce9-1776308319.png

経営貢献に向けた取り組み(財務・リスク・SDGs)

大規模改修等による財務インパクトを抑制するため、業務継続にかかわるリスクの側面から銀行の設備・部位ごとに重要度付けをおこない、それぞれの劣化度に応じた整備目標として営業店整備マップを作成。投資対効果の高い計画と柔軟な財務コントロールを実現した。
有形資産リスクの管理においても、FMの視点を取り入れ、異常気象を起因とするような突発的事象にも即応できるよう態勢を整備。
自然災害への対応としてはハザードMAP等を活用した水防対策を実施した。
また、店舗の劣化進行具合を早期に把握するため、建物点検マニュアルを制定し、5年に1度の劣化診断の間に建物点検を実施することで、リスクの抑制を図っている。

67c78b03ea8ab61d44c3fae41eb079eb-1776307801.png

環境への側面としては、本店ビルにおいてLEEDEBOM[注1]のゴールドを認証取得。空調運用の見直しによるエネルギーコスト削減(電気:5%,冷水:10%,蒸気:14%)などSDGs(持続可能な開発目標)に対応した環境活動もすすめており、ESG 経営にも貢献している。

[注1] LEED-EBOM 認証LEED は、世界160カ国以上で登録が普及している省エネや環境に配慮した建物と敷地利用に関する環境性能評価システム。LEED-EBOM は既存ビル版に認証

c5ba6381a56283f9addf7764a95b14c3-1776307893.png

●サービス提供者
・株式会社NTTファシリティーズ

●講評
地銀大手のFM 事例。2014 年当初は、管財業務のアウトソーシングという形で始め、本店内にFM センターというアウトソーサーを含めたFM 推進体制を構築した。建築・動産・不動産・統括マネジメントの4 グループにより、FM の業務範囲を拡大させながら、発展させてきている。初期には、FM データベースの構築、劣化診断・現状調査を踏まえた中長期整備計画の作成などを行い、現在は施設資産の最適化、ファシリティコストの削減、省エネ改修を含めた環境施策など、幅広いFM 業務を推進している。さらに店舗のFM 標準による改善、SDGs(持続可能な開発目標)に対応した環境活動、行内のFM 人材の育成など、FM 戦略を経営戦略のひとつに組み込んでおり高く評価できる。