第13回(2019)
優秀FM賞
日本アイ・ビー・エム株式会社
旧IBM大阪事業所は1974年に竣工後44年が経過する自社施設でしたが、施設の老朽化の影響だけでなく時代に即した設備対応などにも限界があり、移転を計画することになりました。移転先は中之島フェスティバルタワーウエスト。
2017年3月に竣工された新築の高層オフィスビルであり、より大阪中心部に近い立地条件と高い耐震性、設備スペックなどを総合的に判断して移転先を決定しました。
大阪事業所は西日本地区(中部・関西~九州・沖縄地区)の拠点としてお客様向けのClient Experience Centerの機能を持たせて営業支援を行うものです。Client Experience Centerは、最新のクラウド/AIをお客様に体感していただくと同時にそれらを用いた変革をIBMと共に議論し具現化していく場です。最新のソリューションや、100年以上にわたるIBMの歴史などを、映像やデモ、IBMスタッフとのディスカッションを通じて紹介いたします。
Agile Officeのコンセプトは社内でも構築され始めたばかりの新しい考え方で、IBM社員がそれぞれの力を発揮できるよう考えられたオフィスの形です。社員はコミュニケーションやコラボレーションを重視し目的や状況に合わせて働く環境を選択することができます。

IBMでは“Client first”とともに“Agile”を標榜としています。“Agile”とは抽象的な概念で“機敏な”、“素早い”という意味です。IT開発手法の“Agile 開発と合わせて、IBM Agile Officeのコンセプトが以下のように表現されています。
▷ Focus on Collaboration
・ ・ ・コラボレーションにフォーカスする
▷ Creation rapidly responding and vibrant workplace
・ ・ ・迅速な対応や活気溢れた執務空間の構築
▷ Responding to Diverse Work Styles
・ ・ ・多彩なワークスタイルへの対応
オフィスは5 つのカテゴリーに分類され、25 通りの働き方から構成されています。
それぞれの働き方がオフィス空間の中で混在することでさまざまな働き方に対してフレキシブルに対応することができています。
● 施策1. フリーアドレスの推進
日中外出の多い社員はすべて固定席を与えず、かつ、共有席(フリーアドレス席)は複数のフロアにまたがっているため、席を最小限まで削減することができました。これにより全従業員数の約半数の席数で運営が可能になりました。
● 施策2. オープンな 役員席
従業員と役員とのコミュニケーションと面積効率化いう観点から役員室を撤廃し、オープンエリアに役員席を配置しました。
● 施策3. 会議室の削減とコラボレーションエリアの充実
これまでのオフィスは人数規模や、会議内容に関わらず全て会議室で行われていました。
“Agile”という概念からも会議室で打ち合わせを行うのではなく、気分や状況に合わせて場所を瞬時に選択し、本会議に参加していない従業員も含め従業員同士のコラボレーションを図ることが重要だと考え、大幅に会議室を減らし、その分オープンなコラボレーションエリアを充実させました。
壁で閉ざされたクローズドなエリアを減らすことができ、視覚的な広がりを与え、旧事務所より開放感を感じるオフィス空間を実現しました。
Usage monitoring system や会議室予約システムなどのIT/ICT の技術も空間と併用することで、より高い空間の効率化を実現しました。

●サービス提供者
・株式会社日建スペースデザイン
●講評
日本IBM 大阪事業所の移転にともなうオフィス改革についての応募である。同社は第3 回最優秀FM 賞を受賞している。老朽化していた自社ビルについて大規模改修ではなく、賃借ビル移転を選択し、時代のビジネスニーズに対応したワークプレイス改革を実施した。自社不動産売却によるキャッシュにより移転の投資、その後の賃借料をカバーするなど、不動産戦略、財務戦略も巧みである。ワークプレイス改革ではAgile Office というコンセプトのもと、ABW、ICT ツールの活用、約50%の大幅な面積縮減、オープンコラボエリアなど、豊富なFM の経験・知見の活用により、新しい段階に発展させている。わずか数か月程度で移転先ワークプレイスの計画から工事・移転までを終えるなど、スピード感がある。