第13回(2019)
特別賞
株式会社ガイアート
白糸ハイランドウェイは軽井沢町の北部、天皇皇后両陛下のロマンスでも有名な旧軽井沢から、浅間山の麓に至る、延長10㎞の観光有料道路である。もともとは、軽井沢から草津方面の定期バス路線を運行している草軽交通㈱が所有していた道路であり、同社の前身である草軽電鉄(軽便鉄道)の廃線に伴ってバス事業に転化した際に、同社によって1962年に建設され、2011年に道路部門を分社化した後に㈱ガイアートが取得したものである。
道路建設会社である当社が、有料道路を取得した理由は大きく2 つある。1 つは、自社独自技術の開発とその効果の実証を行うフィールドとして活用することと、もう1 つは道路維持管理のコンセッションや包括委託契約のノウハウやマネジメント手法を習得するという目的である。品質マネジメントシステム(QMS)ISO9001 のPDCA サイクルと、アセットマネジメントシステム(AMS)ISO55001 のPDCA サイクルの両輪を、白糸ハイランドウェイのアセットを介して回すことにより、顧客ニーズへのアウトプットとして前者の「製品・工法」と後者の「サービス」を得ている。
アセットマネジメント(AM)はインフラ等の公物管理であるが、その管理手法は2018 年4 月にISO41001 が発行されたことより、その要求事項と目的「ファシリティ(インフラ)を最適な状態に保全し、かつ有効活用することで、経営の効率を向上させる」という点においてFM と共通点が多いといえる。

白糸ハイランドウェイは、草軽交通時代には自社の路線バスを運行するためと、観光地と観光地を結ぶための単なる道路であった。しかしながら、沿線に観光名所「白糸の滝」を有し、夏の深緑のトンネル、秋の紅葉、冬の雪原と、四季を通じて道路そのものの景観も美しく、観光資源として十分魅力のある道路であるため、この資源を有効活用し価値と便益を得るために、さまざまな取り組みを実施している。
そのためにはまず、利用者の安全・快適性の確保が不可欠であり、限られた予算の中から恒常的な設備投資(舗装の修繕)を行い、その結果年々舗装のパフォーマンスが向上して、ステークホルダーへのアカウンタビリティーと満足度も向上している。この機会を、独自技術の実証実験の場として有効活用して生まれた製品の施工実績も年々増加している。また、大型除雪車の導入や融雪効果の高い舗装の採用、雪氷作業方法の見直しも行っている。

道路そのものの観光目的化を図るため、夏の滝のプロジェクションマッピングや、寒冷地であることを逆手にとった冬の氷柱イルミネーションのイベントを軽井沢町共催で毎年企画・運営している。これにより、車を通すだけの道路に新たな付加価値が加わり、冬期閑散期の集客にもつながっている。
最近では、これらの自然の滝を利用したイベントが、各メディアで取り上げられるなど、軽井沢町の観光行事としての地位も確立してきており、ここから新しい回遊型観光の流れが作り出せれば、さらなる周辺地域の活性化につなげられると考える。

●講評
ISO・FM と連携するISO・アセットマネジメント(AM)の実施事例の応募。ガイアートはISO55001 の認証取得企業で、軽井沢の有料観光道路「白糸ハイランドウェイ」について、ISO・AM に沿ったマネジメント活動を実施している。社会インフラ等のアセットを、コスト、リスク、パフォーマンスの最適なバランスにより適切に維持管理するとともに、アセットから多くの価値と便益を得るというAM の主旨に適った活動を展開している。具体的には、利用客への快適性提供、地域社会活性化への支援、従業員のモチベーション向上などを図るために、安定的な設備投資による舗装の更新、融雪効果の高い舗装仕様採用、雪氷作業の効率化の施策と併せて、町や観光協会との協働によるイベントの企画・運営などを実施している。利用者満足度評価など、FM の手法が活用されており、アセットマネジメントとファシリティマネジメントの接点を広げる活動を評価したい。