第11回(2017)
優秀FM賞
コニカミノルタ株式会社
コニカミノルタは、2003年のコニカ社・ミノルタ社経営統合により、両社の強みを活かして情報機器事業へより一層注力した。2006年には創業事業であったカメラ・フォト事業から撤退しつつも、収益を伸ばしたが、2008年のリーマンショックで大きな打撃を受け、業績が大きく落ち込んだ。
これが教訓となり、 環境変化への対応力を向上させるために、コストダウン施策に加えて、周辺事業の強化、新規事業の創出の取り組みが強化された。
2010~2012年の本社移転プロジェクトを機に、働き方・働く場・働く空間が見直されたこともあり、2011年からは新研究棟建設計画の検討が開始された。そして、2014年のSKT棟竣工を契機として、働き方改革がいよいよ全社的に展開された。
上記の経営環境/ 外部環境の変化に応じて、コニカミノルタのファシリティマネジメント(以下、FM)体制や機能も進化しており、その軌跡は大きく3 つの時期に区分することができる(図表1)。
SKT棟のコンセプト、空間デザインは、こうした時代背景の中で生まれ、それに連動してFMの活動内容も変化してきた。

SKT棟の名称は「Smart R&D Office for Knowledge Work and Trans-boundary Communication」の略称で、「多様な『知的共創空間』であり、国境や組織の壁を『超越』した対話を実現する、環境性・安全性にも配慮した『スマート』な研究開発拠点にする」という想いが込められている。
中期経営計画「GPLAN2013」の経営方針である①既存事業の強化、②新規事業の育成を実現するため、2011年より新研究開発棟の建設計画が検討開始され、2012年に機関決定、2014年にSKT棟が竣工した。

SKT棟建設により、分散していたデジタル印刷システム設計開発機能が一カ所に集約され、かつ本社研究開発機能も同建物に配置されたことで、業務効率が向上した。
また、SKT棟の建物としての大きな特徴は、中央部に設置された巨大なアトリウム空間であるが、これにより入居者1,500人が一体化し、立体的R&D活動が生じ、事業強化が促進されている。これらの効果は、SKT棟の使用開始前後に実施した従業員満足度アンケートの結果でも実証されている。

2008年以前の社内には、FMの概念自体がなく、建物建設の際や施設維持管理業務等は、エンジニアリング子会社に完全委託していた。ところが、SKT棟建設計画の検討を契機に、本社経営企画とエンジニアリング子会社の連携が機能し始めた。
これは、新研究開発棟(SKT棟)建設のため、現場データに基づいた精度の高い提案、社内要望を充分に汲み取った建物仕様の選定等を行うために、2部門の連携は欠かせなかったことによると推察できる。
SKT棟が竣工する2014年には戦略機能(本社総務部)と実行機能(FM機能子会社)が1つに統合され、FMサイクルの一括管理/ 運営の仕組みが形成された。
それにより、現在では修繕保全などの現場的FMから再配置や拠点統廃合といった戦術的/ 戦略的FMまでを一気通貫で迅速に遂行することが可能になった。また、FMの機能・体制が定着したことで、PDCAサイクルを廻すことも実施できている。
現在では上記に加え、コニカミノルタにおけるFMのあるべき姿を構想し、FMのグループ&グローバル化を強く推進している。
全社のファシリティコストや固定資産の情報を統合して可視化し、総合データベースを構築することで、拠点の統廃合・新施設建設・M&A等をファシリティの面からさらに支援することができると考え、地道かつ継続的に取り組んでいる。
●サービス提供者
・株式会社竹中工務店
●講評
研究開発棟のワークプレイス改革にFMを取入れた事例。同社の日本での事業が研究開発中心にシフトしており、その拠点づくりとしてSKT棟が位置づけられている(生産拠点は海外に移転)。SKT棟の計画が始まった2013年からFMの組織体制整備が整い、全国の事業所に展開されつつある。現時点での成果としては2014年竣工のSKT 棟と八王子事業所など数か所のワークプレイス改革がある。経営戦略と直結したワークスタイル改革、経営企画担当がFMの重要性に気づき、自らFM組織を立ち上げ統括マネジメント体制を築いたことなどが評価された。なお、余剰不動産を含めた施設資産の全体最適を図るFM戦略策定とその推進が今後の課題といえる。