第11回(2017)

優秀FM賞

  • ワークプレイス
  • 働き方改革

FMによる健康経営の実現 -FHABを中心として-

株式会社フジクラ

FMによる健康経営の実現 -FHABを中心として-

はじめに

第11回JFMA賞優秀FM賞をいただいた「FMによる健康経営の実現-FHABを中心として-」の実行プロセスを以下に示すと、
 1.経営視点からゴールイメージを明確にする
 2.ゴールイメージの実現に向けた障害を分析により明確にする
 3.障害を解消しうる対策案を立案する
 4.対策案を実行して、効果を検証する
 5.2〜4 のPDCAのサイクルを回す
と、いたって平凡な仮説検証型で、健康経営という目的も含め受賞するほどの特段の新奇性はない。ではこのテーマのどこに受賞に値する本質的価値があったのであろうか。本稿では、この受賞テーマの本質的価値について受賞後に考えたことを述べたい。

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健康経営実現のためのPDCAサイクル

経営理念とFM

FMの考え方は、「経営戦略視点からの経営活動」と簡略化でき、経営戦略は経営理念に依拠しているので、「経営理念実現のための経営活動」と読み替えられる。
当社の経営理念は、「フジクラは“ つなぐ” テクノロジーを通じ、顧客の価値創造と社会に貢献する」である。この受賞テーマで注力したのは、徹底的なモニタリングとデータ分析であるが、これが理念に書かれている「“ つなぐ” テクノロジー」に相当する。
「顧客」は当社の従業員と経営者であり、「価値」は従業員には健康、経営者には企業グループのゴールイメージの実現となる。
「社会に貢献」は、健康で健全な会社組織の実現で、わが国が抱える社会保障問題の解決の一助となることである。
また、徹底したモニタリングと分析はFM 活動の「総合的かつ統括的」の概念に関係し、輻輳・交絡する多様なデータの関係性から本質要因を見出し対処する流れは、総合的かつ統括的活動を結果的に担保している。

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フジクラ健康経営活動FHAB(ファブ)のコンセプト

このように、私たちは意図的にFMの定義を金科玉条として各要素を計画・実行に落とし込んだのではないが、経営理念に即した活動をすることで、結果的に至極FM的な活動になっていたことに気付いた。まさにこの点が受賞の際の評価ポイントではないだろうか。
つまり、当社の経営理念から行動基準に至る経営活動の指針にFM 的理念が埋め込まれていたことで、自然とFM的活動になっている点が、本来あるべき姿として、受賞に値する価値があると認めていただいたと考えると納得がいく。

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取り組みの成果

終わりに

企業ではさまざまな施策が、機能組織ごとに企画・管理・実行されている。
多くの施策において、経営戦略視点は何か、ゴールは何か、何のために行うのか、という基本が置いてきぼりにされ、実行することが目的化されがちである。
その結果、単体の施策だけ見ると立派な施策が、各施策を横並びにすると、チグハグになっているだけでなく、ともすると無駄の温床になっていたりする。FMの思想は、この部分最適に陥りがちな活動を全体最適に引き戻す強力な牽引力を発揮する。この思想はファシリティの領域だけでなく、すべての企業活動に共通する。

受賞後に本質的価値を振り返りながら、この忘れがちなFM的思考をリマインドさせる協会の活動やJFMA賞の意義の大きさを再認識した次第である。

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●サービス提供者
・株式会社イトーキ
・株式会社シマノ
・エルゴトロンジャパン株式会社
・国立研究開発法人産業技術総合研究所

●講評
2011年より継続している健康経営と連携したFMに関する事例。社員の健康増進・疾病予防を、経営陣は経営課題と捉え、中期経営計画に盛り込んでいる。健康経営との連携では、社員の健康づくりを促進する場とそれを生み出す活動をFM と位置付けている。2016年より、全国の事業所に横展開を始めた。健康経営の数値化、見える化に意欲的で、先進的な試みである。スタンディングデスク(作業面が上下する)についても、全国の事業所へ展開する予定。健康づくりに加えて、働きやすさ、生産性向上も掲げており、社内コミニュケーションも向上。健康経営を推進しながら、他のFM課題取組みに発展が期待されるなど評価された。