第11回(2017)
特別賞
株式会社ジェイアール東日本都市開発
周辺地域と連携したものづくりの拠点 2k540 AKI-OKA ARTISAN
JR山手線、秋葉原~御徒町駅間の鉄道高架下は、主に駐車場、倉庫等の利用にとどまり商業需要が非常に低く、また、高架沿いの道路は人通りが少なく賑わいのないエリアであった。
このような状況の中、秋葉原駅周辺は電気製品店の街から再開発事業による高層ビルが順次開業し、賑わいのある複合市街地へと変貌していた。
また、御徒町駅と上野駅周辺はアメ横等があり多くの人が集まる地域であるものの、秋葉原~御徒町駅間では人の集まり、人の流れが少ない状態であり、JR東日本が実施している高架橋耐震補強工事を契機として、社内外より同駅間の高架下の活性化が望まれていた。
当該地は駅間の立地であるため、従来は一般の商業施設では出店が難しい上に、持続が不可能と考えられていた。従って、単純にその場所をハード的に美化し整備するような活性化ではなく、街に人の流れを作ることができるような開発が志向された。
本計画施設を「ものづくり」をテーマにした商業施設「2k540 AKI-OKA ARTISAN」とし、地域に昔から根づいている産業を軸に新しい視点を持ち込み、「ヒトを結ぶ」「モノを結ぶ」「コトを結ぶ」などさまざまな「結ぶ=LINK」により、鉄道高架下空間を有効活用しつつ、高架下のみならず、周辺エリアの人の流れやモノへの付加価値創出などに結びつけることが重要であった。
構想策定に続き、市場調査・基本計画策定、店舗リーシングを2010年6月までにまとめた。それとほぼ並行して、高架下既利用者との移転交渉も行い、開発の下地をつくった。
8 カ月の工事期間を経て、2010 年12 月に第一期を開業し、その後2011 年9 月に全面開業した。
本開発前の駐車場、倉庫等として使用していた鉄道高架下部分は、収益性、環境ともに好ましい状況ではなかったが、本施設開業により周辺エリアの活性化とともに家賃収入を3倍程度向上させた。
その後も、同駅間の高架下の開発を断続的に進め、JRグループとしての高架下収益の向上はもちろんのこと、高架下や周辺環境の美化向上を通じて、JRおよびグループ企業としての地域貢献につながっていると考えている。
また、同施設の開発により、地場産業の革製品や若手クリエーターの集積地区として生まれ変わった。経済合理性追求のあまり、衰退が進んだエリアに経営基盤の弱い作り手が出店者として集積することで、エリアとしての訴求力や集団としての強みにつながっている。
さらに、暗く寂しいイメージのあった従前の高架下周辺が、明るく人の集まる活気のあるエリアとなったことから、出店者およびご利用されるお客さまはもちろん、地元の皆さまも高架下を安心して自由に往来できるようになり、周囲の住民の利便性向上にも大きく貢献し、評価を得ている。
さらに、2013年7月には、同施設の秋葉原駅寄りに「CHABARA AKI-OKA MARCHE」を開業、2015年7月には、先の2 施設の中間位置に「B-1グランプリ食堂 AKI-OKA CARAVANE」を開業させた。
さらに秋葉原駅隣接地には、2011年9月には「AKB48 CAFE &SHOP AKIHABARA」、2014年4月に「GUNDAM café秋葉原店」の開発を行い、現在も引き続き「AKI-OKASTREET」として同駅間の鉄道高架下開発を続けている。
昼間でも閑散としていた同駅間「AKI-OKA STREET」に年間100万人以上の新たな人の流れが生まれ、それに伴ってモノの流れ、また、周辺地域も活性化した。

●サービス提供者
・株式会社交建設計
・株式会社コギト・エルゴ・ズム
・JR東日本ビルテック株式会社
●講評
秋葉原・御徒町間の高架下の活用事例。耐震改修を兼ねた改修により、高架下に商業空間を創設した。2010年の一部開業以来、継続的に拡張・発展をさせており、年間100万人以上の流入者が地域社会に貢献している。周辺地域と連携したアクセサリー、革製品などものづくりの拠点となっている点、工房と店舗を同時に見せるテナントの意図的誘致などは評価できる。収益性など経営への貢献もある。列柱の利用や内部にストリートを設けるなど施設計画もよい。にぎわいの演出と「何もない空虚さ」からの脱却は、近隣の商業従事者からも好感されているなど評価された。