第10回(2016)
最優秀FM賞(鵜澤賞)
岩手県紫波町
オガールプロジェクトは、JR東北本線紫波中央駅前に約10年間塩漬けとなっていた10.7haの町有地を経営資源と捉え、町民の財産であるこの町有地を有効活用し、財政負担を最小限に抑えながら公共施設を整備するとともに、民間施設の立地と合わせた複合的経済開発を行うことを目的として進めている。
町はプロジェクトを進めるにあたり、各種調査を踏まえ「紫波町公民連携基本計画」を策定しグランドデザインを描くとともに、デザインガイドラインを定め、統一感のある街並みと優れたデザインによるエリア価値の向上を目指している。

事業の実施にあたっては、それぞれの事業棟や施設に合わせ、さまざまなPPP手法を取り入れている。
2012年にオープンした官民複合施設オガールプラザは、PPPエージェントであるオガール紫波株式会社が2 段階プロポーザルの実施によるPPP方式で整備した。
2014年にオープンした民間複合施設オガールベースは事業者公募による事業用定期借地権設定方式で、その翌年に開庁の役場新庁舎はPFI(BTO方式)で整備された。

このように最適なPPP手法を採用することで一般的な公共調達では実現できない効果を生んでいる。
図書館や子育て応援センター、産直施設、カフェやクリニックなどが入居するオガールプラザは、図書館を中心に相性の良いテナントを組み合わせることで、お互いの存在価値を上げている。
また、民間施設部分の固定資産税や土地賃料を図書館等の維持費の一部に充てることで持続可能なサービスを提供する「稼ぐインフラ」の仕組みを実現している。

さまざまな手法や主体によって実現しているオガールプロジェクトであるが、オガールエリアに共通していることは「消費活動を目的としない訪問者を増やす」ことである。
図書館やフットボールセンター、バレーボールアリーナがその役割を担っており、人々が居心地が良いと感じる「サードプレイス」の創出につながっている。
人が集まると商業サービスは自然と発生し、さらにエリアに活気が生まれる。エリアに活気が生まれることで不動産の価値は向上し、エリアの価値が上昇する仕組みである。
半径30kmを商圏としたプロジェクトは、「都市と農村の暮らしを愉しみ、環境や景観に配慮したまちづくりを表現する場」として、年間94万人を超える人たちが訪れる場所となっている。

●サービス提供者
・オガールプラザ株式会社
・オガール紫波株式会社
・公益社団法人岩手県サッカー協会
・学校法人東洋大学
・株式会社アフタヌーンソサエティ
・有限会社オンサイト計画設計事務所
・株式会社アジール
・株式会社近代建築研究所
・株式会社みかんぐみ
●講評
公民連携による地方創生の好事例。オガールプロジェクト(紫波中央駅前都市整備事業)は、紫波町公民連携基本計画(平成21年2月策定)に基づき、新駅前の10.7haの町有地を有効活用し、財政負担を最小限に抑えながら公共施設を整備するとともに、民間施設も立地させて複合的経済開発を行うことを目的とした。4カ所に分散していた役場を集約した新庁舎はPFIで整備、オガールプラザなど公民連携による施設は多くの来館者を得て経営的にも成功しており、公共FMのひとつのモデルといえる。この開発は、今後の公共施設のあり方を示すものとして極めて高く評価された。