第10回(2016)
優秀FM賞
社会医療法人真美会 中野こども病院
中野こども病院は、1966年創立の全国初の民間小児病院である。79の病床数は小児科として最大級24時間365日小児救急告示病院である。大阪市北東部に位置しながらも、患者来院圏は大阪府内広範囲であり、閑静な住宅街の中で約50年もの間、診療を続け、多くの方に愛され続けてきた。
当病院の全職員は、「いつも何が子どもにとって一番よいことか」を考えて医療活動を行っている。そして、創立以来、心身両面からの医療と小児救急医療の充実を掲げて実践してきた。
子どもは、病気という苦痛や不安に対処するには専門職の支援が必要である。病気や困難を乗り越えながら、抵抗力と免疫を身につけて大きくなってほしいと願っている。
そういう思いで、小児科医、看護師をはじめ薬剤師、栄養士、検査技師、心理士、保育士、ソーシャルワーカー、事務職員など多くの小児専門スタッフが一体となって、「小児医療のあるべき姿を求めて」日夜活動している。
診療面では、年間3,000例以上の入院患児を受け入れる一方、日常感染症だけでなく幅広い分野で対応可能な専門外来を設置し、開放型病院として地域の各診療所や病院との病診連携 をより進めている。

今後、わが国が迎える未曾有の少子社会における小児病院の使命を明確にするため、
① 医療を通して、地域の育児支援を強化する
② ファシリティの有効活用で医療機能効率を向上させる
という経営戦略をたてた。私たちが推進していくべき医療活動に対して、スタッフ一人ひとりがさらに高い意識をもって取り組んでほしいという趣旨から、4つのビジョンを掲げた(図表)。創業以来の理念を受け継ぎ、今日の時代に合わせて、さらに少子化による諸問題が顕在化するであろう未来を見据えたものである。

「Ⅰ: 少子化社会への対応」として、いつでも救急患者を受け入れ、救急のあるべき姿を目指す。
「Ⅱ: 子育ち、親育ちへの支援」は、小児内科専門病院として、子どもの最大の利益を考えたチーム医療を提供する。
特に、患児の病状の複雑化要因には、親の育て方に起因するケースも多く、子育て支援をすることで、幸せな家族関係にまで、しっかりとフォローできる次
世代型の小児急性期病院を追及する。
「Ⅲ: 地域とつながる」では、災害時の拠点や、日常のイベントの充実など、機能特化したブランド病院として、地域社会に認知される病院を目指す。
「Ⅳ: CSさらにESへ」では、継続的に実施している、スタッフの働く環境改善活動「こども元気会議」など、スタッフの主体性を育む参加意識の高い環境づくりを目指す。

ビジョン達成に向けて、新病院における医療活動はこれから本格化する。2016年10月の創立50周年記念諸行事を行いながら、PDCAサイクルで医療経営を行う方法として、第4の経営基盤としてのファシリティマネジメント手法が最適と考えている。
●サービス提供者
・大成建設株式会社
●講評
わが国初の民間小児科専門病院の、建替を契機としたFM導入事例。本館の新棟完成が2015年7月であり、具体的にはスタートしたばかりといえる。T-PALET(JFMA賞技術賞受賞)を用いたブリーフィングが建築計画に活用されている。FM推進体制としては、理事長・院長がリーダーシップを持ち、進めている。住宅地での立地なので、近隣への配慮が十分されている。医療機関との連携も図られ、今後の10年を見通した小児内科中心の医療ビジョンと施設づくりがマッチした点も含め、高く評価された。