
舞鶴市 財務部
資産マネジメント推進室 資産マネジメント推進課
やまぐち ぜんこう
舞鶴市は京都府北部に位置し、日本海に面した豊かな自然と、城下町・港町・旧軍港・開港といった多様な歴史的景観を有するコンパクトかつ個性豊かなまちです。舞鶴市の大きな特徴として、歴史的背景から東西に2つの市街地を有する「複眼都市」であることが挙げられます。この都市構造ゆえに、東西それぞれで類似施設の重複が生じやすく、また、各地域において「自分たちの地域の施設」に対する市民の皆さまの思い入れが非常に強いという点が、公共施設マネジメント(FM)を進める上での重要な地域特性であり、大きな課題でもあります。
舞鶴市の公共施設は高度経済成長期を中心にいっせいに整備され、人口1人当たりの公共施設床面積は全国平均を大きく上回っています。全120施設のうち築30年以上が約73%を占め、老朽化対策が急務となっています。しかし、現場の最前線で事業に取り組む中で直面している危機は「老朽化」だけではありません。実際には古い建物の削減を進める一方で、新規の建築物も増えており、市全体として将来にわたり維持・更新していくための「持続可能な体制」が、いまだ確立できていないという厳しい実状があります。

この危機感のもと、本年(2026年)度から新たに「資産マネジメント推進室」を立ち上げ、より強力にFMを推し進める体制を整えました。また、2014年策定の計画の第1期終了に伴い、本年7月に社会情勢の変化を反映し、「舞鶴市公共施設等総合管理計画」と一体運用させる「舞鶴市公共施設マネジメント基本計画」を改定しました。これまでの10年間で、機能を集約した複合施設「まなびあむ」の整備など、一定の施設総量の縮減を進めてきましたが、今後はさらに踏み込んだ最適化が求められます。

舞鶴市のFMの軸は、施設を「2軸4分類」で客観判定するデータ評価と「丁寧な市民対話」にあります。各地区で住民ワークショップを重ねてきましたが、痛感しているのは「市民と行政の意識のギャップ」です。 行政が将来負担への危機感を強く持つ一方、市民の皆さまからは「公共施設は、あればあるほど良い」という声があがることもありました。特に舞鶴市のような複眼都市では地域ごとの施設への愛着が強いため、この意識の差を埋め、理解を深めていただくことに、現在進行形で苦慮しています。
だからこそ私たちは、ワークショップや広く市民に考えていただくためのシンポジウムの開催を通じ、この問題を「自分ごと」として考えていただくための発信に尽力しています。対話の中では「今ある建物をなくす・なくさない」ではなく、「本当に豊かな暮らしのために、どのような機能を求めているか」から考えていただくよう問いかけ続けています。


実際に取り組んできた率直な感想として、思い通りにならない面は多々あります。単純なコスト計算や行政の論理だけでは成り立たない地域特有の問題があり、施設の集約や延床面積の削減は、机上の計算のようには上手く進みません。しかし、面積削減だけがFMではありません。建物がなかなか減らせないなかでも「空きスペースを民間に貸し付けて収益化する」、「維持管理費を平準化・抑制するために官民連携によるリースを活用する」、「空調等を省エネ化してコストを削減する」といった多角的な観点から、持続可能な維持管理体制を築くための挑戦を続けていく必要があります。

市民の皆さまに今一度問いかけたいのは、「求めるサービスは、本当に『行政が所有する建物』でなければ実現できないのか?」ということです。見回せば、街中には空き家や、時間帯によっては使われていない民間の建物など、市民の暮らしを助ける「宝物」のような空きスペースが溢れています。これからは、街全体をひとつのファシリティと捉え、既存ストックや民間資源を賢くシェアする視点が不可欠です。私たち資産マネジメント推進室は、これからも市民の皆さまと知恵を出し合い、舞鶴市の未来を切り拓く公共施設経営に挑戦し続けてまいります。
